運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 後編
「・・・そういった考えがあったから僕は僕自身の判断を否定しないため、そしてエルレインの思う通りに動くのはシャクだと思ったから僕はカイル達が来るまであの場で寝ていたんだ。歪められた生を与えられて生きている僕が、マリアンの事も含めてこれ以上知った上で何かを知る事に余計な事をするのも許されることではないとな」
「・・・だがカイル達と出会ったことにより、お前は動くことを決めたということか」
「あぁ・・・それから以降についてはお前も知っての通りだが、平行世界としてそこまでの違いが無いのならマリアンはそちらのその後でも生きているだろう。と言っても今となってはそうしてマリアンの事を知ろうとしたことに関しては、本来は望ましくないことだったのはよく理解しているがな」
「っ・・・」
そうして少し気を落ち着けつつも自身の考えや気持ちをジューダスはまとめあげて話していき、リオンはそれらを受けて苦い顔を浮かばせるしかなかった。
「・・・お前がマリアンの事を気にかける気持ちに関しては分かる。お前は僕だからな・・・だが僕が考えた上で選んだ行動がそうだということもそうだが、そもそもマリアンの事を詳しく話すような事をされていたなら彼女に心無い言葉や行動を向けてくるものがいただろうからこそ、彼女の行き先が分からないで良かったという部分があるんだ」
「何・・・どういうことだ?」
そんな様子を見てかジューダスがタメ息を吐きたそうに口にした言葉に、リオンはたまらず眉を寄せる。
「・・・十八年後の世界で僕がどのように伝えられていたのかに関しては、ハイデルベルグの街中の記念館を見たことで知っている。あくまで僕は言葉少なく裏切ったといったように伝えられていたというものだが、スタンやフィリア辺りはそんな風に扱うのは良くないのではと奴らの人格なら言っていただろう。しかしそれをしなかったのは奴らが僕の性格を考えたというのもあるだろうが、そこでマリアンの為に裏切ったなどという情報があったなら・・・」
「成程・・・マリアンに対しての批難は少なからず出てきただろう上で、そうさせないためには僕の性格も併せて本当の事は言わずに済ませ、影で彼女を逃がす方向にスタン達は舵を取らざるを得なかったということか・・・」
「あぁ。おそらくはウッドロウが主導しての事だろうが、そういうようにしたならばこそ奴はアフターケアもある程度はしていただろうとは思う。だから僕としてはマリアンのその後については然程心配していないというより、むしろそういったことが簡単に情報として残らなかったことに安堵したくらいだ。もしそうであったならマリアンの事で僕もそう落ち着いていられなかっただろうからな」
「・・・確かに僕が悪役となって彼女に難が及ばないとなるなら、そちらの方がいいと僕も考えていただろう・・・だからこそマリアンの行方をハッキリと知れなかったことについては、その為の物と受け入れろということか」
そのままジューダスはマリアンがこういう事が考えられるから安全だろうという話をしていき、リオンもそれらに納得といったように頷いた。
・・・どちらの『リオン』からしても言えることとして、スタン達は言葉を悪く言うなら甘いでありよく言うならお人好しといったような善人の集まりである。だがそんな善人達がリオンが裏切った理由を正当化するような事を言わなかったのは、マリアンの安全以外にないとジューダスは見たのだ。
無論スタン達もだが、マリアンもどれだけ苦心したかもジューダスは想像は出来た。しかしそれでもマリアンが死ぬような事になるくらいならと茨の道を選んだジューダスからすれば、そういったことはむしろありがたいことであったと共にスタン達に対して申し訳ないという気持ちも抱いたのである。自分の考えを掬い取ってくれたことを生き返るという形で知ったからこそ、それらを返しようもないのだということに・・・
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「・・・だがカイル達と出会ったことにより、お前は動くことを決めたということか」
「あぁ・・・それから以降についてはお前も知っての通りだが、平行世界としてそこまでの違いが無いのならマリアンはそちらのその後でも生きているだろう。と言っても今となってはそうしてマリアンの事を知ろうとしたことに関しては、本来は望ましくないことだったのはよく理解しているがな」
「っ・・・」
そうして少し気を落ち着けつつも自身の考えや気持ちをジューダスはまとめあげて話していき、リオンはそれらを受けて苦い顔を浮かばせるしかなかった。
「・・・お前がマリアンの事を気にかける気持ちに関しては分かる。お前は僕だからな・・・だが僕が考えた上で選んだ行動がそうだということもそうだが、そもそもマリアンの事を詳しく話すような事をされていたなら彼女に心無い言葉や行動を向けてくるものがいただろうからこそ、彼女の行き先が分からないで良かったという部分があるんだ」
「何・・・どういうことだ?」
そんな様子を見てかジューダスがタメ息を吐きたそうに口にした言葉に、リオンはたまらず眉を寄せる。
「・・・十八年後の世界で僕がどのように伝えられていたのかに関しては、ハイデルベルグの街中の記念館を見たことで知っている。あくまで僕は言葉少なく裏切ったといったように伝えられていたというものだが、スタンやフィリア辺りはそんな風に扱うのは良くないのではと奴らの人格なら言っていただろう。しかしそれをしなかったのは奴らが僕の性格を考えたというのもあるだろうが、そこでマリアンの為に裏切ったなどという情報があったなら・・・」
「成程・・・マリアンに対しての批難は少なからず出てきただろう上で、そうさせないためには僕の性格も併せて本当の事は言わずに済ませ、影で彼女を逃がす方向にスタン達は舵を取らざるを得なかったということか・・・」
「あぁ。おそらくはウッドロウが主導しての事だろうが、そういうようにしたならばこそ奴はアフターケアもある程度はしていただろうとは思う。だから僕としてはマリアンのその後については然程心配していないというより、むしろそういったことが簡単に情報として残らなかったことに安堵したくらいだ。もしそうであったならマリアンの事で僕もそう落ち着いていられなかっただろうからな」
「・・・確かに僕が悪役となって彼女に難が及ばないとなるなら、そちらの方がいいと僕も考えていただろう・・・だからこそマリアンの行方をハッキリと知れなかったことについては、その為の物と受け入れろということか」
そのままジューダスはマリアンがこういう事が考えられるから安全だろうという話をしていき、リオンもそれらに納得といったように頷いた。
・・・どちらの『リオン』からしても言えることとして、スタン達は言葉を悪く言うなら甘いでありよく言うならお人好しといったような善人の集まりである。だがそんな善人達がリオンが裏切った理由を正当化するような事を言わなかったのは、マリアンの安全以外にないとジューダスは見たのだ。
無論スタン達もだが、マリアンもどれだけ苦心したかもジューダスは想像は出来た。しかしそれでもマリアンが死ぬような事になるくらいならと茨の道を選んだジューダスからすれば、そういったことはむしろありがたいことであったと共にスタン達に対して申し訳ないという気持ちも抱いたのである。自分の考えを掬い取ってくれたことを生き返るという形で知ったからこそ、それらを返しようもないのだということに・・・
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