運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 後編

・・・そうして霊夢と小町がジューダスと映姫について長話をするという状態が出来上がる中、そのジューダス当人は人里に辿り着いていたのだが・・・


















「「・・・」」
『あの、坊っちゃん達・・・気持ちは分かりますけど、お話ししませんか?このままだと何にも時間が進まないんですけど・・・』
・・・今現在、ジューダスは人里の離れの方に来てリオンと横並びになる形で共に黙りこくり、シャルティエがどうにかならないかと話し掛けているような状態だった。



・・・さて、今二人が何をしているのかと言えば単純に紅魔館から買い物を任されたリオンと鉢合わせし、互いに驚きを浮かべたのだが先に冷静になって場を離れようとしたジューダスをリオンが追い掛け、人里の中でも外側の方にある場所で追い付かれた上で並んで立つという状態になったのである。



「・・・僕はさっさとあの場から立ち去る為に行動しただけなのに、そっちから追い掛けてきたんだ。僕から話すというより、そちらから何かを言い出すのが筋だろう」
『えぇ・・・』
「というよりお前達は僕に何か言いたいことでもあるのか?まずそういったことがあるかどうかだけでも言え。それすら言えんというなら僕はさっさと買い物を済ませて博麗神社に戻るぞ」
「・・・言いたいことならある。僕もシャルも共にだ」
そんな空気に仕方無いからと言うことがないなら帰るとジューダスが切り出し、シャルティエの引いた声に構わず背を向けた時にリオンの声が届いた為に立ち止まる。
「・・・まずは僕から言うが、マリアンはどうなった?」
「マリアンだと?」
「あの時の浄波瑠の鏡にはマリアンについては出てくることはついぞ無かったが・・・お前は知らないのかと言っているんだ」
「・・・」
それで最初というにはあまりに重い音声でリオンから出てきたマリアンという名に、ジューダスは振り向いた上で目を閉じる。



・・・そもそも二人の『リオン=マグナス』がスタン達を裏切った理由は、マリアンという人物を人質に取られたから殺されない為にそうすることを選んだからだ。スタン達に世界自体を危険に晒すことになりかねないと見てもだ。それくらいに『リオン=マグナス』からしてマリアンという存在は大切な存在だったのだ。



「・・・僕の調べた限りではあるが、ミクトランを倒してスタン達が戻ってきた時にはマリアンは生きていたそうだ。と言ってもダイクロフトの崩壊による影響で城がうち壊れ、ヒューゴの屋敷も多大にその影響で壊れた煽りからマリアンは仕事がなくなり、屋敷から離れざるを得なくなって以降の行方はハッキリとは分からないとまでしか僕は把握出来なかったがな」
「何・・・何故そこでマリアンの行方を探そうと思わなかった?」
「・・・その時の僕はエルレインに甦らされて然程時間が経っていなかった。その上で奴の言いなりになる気はなかった僕は奴の元を離れた中で、マリアンの生死に関してだけはどうなのかを知ろうと動いたのだが・・・十八年という年月を経て変わり果てた街並みや人を前にした上でそれでもなんとかマリアンの行方についてはあの荒廃した街の中で奇跡的に知れはしたが、そうして尚もマリアンの後を追ったとして何になるのかという以上に・・・そうしてしまえばエルレインの思う壺になることもだが、何よりあの時の僕の死は何だったのかということになると思ったんだ。選んだことを僕自身が否定するようなことをすれば、あの時の僕の行動は一体なんだったんだとな・・・!」
「『・・・!』」
それでジューダスは覚悟を決めたとばかりに目を開き自身の行動を話していく中で、リオンの問い掛けに自身の立場からそれを許せるはずがなかったと感情の昂りを抑えるように声を漏らし、二人はそっと息を呑んだ。似ているようで違う生き方を経験してきたジューダスの在り方を感じて。









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