運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 後編

・・・紅魔館にて本来有り得ない平行世界の人物同士の対面が起こった。ただそうして対面はしたもののジューダスが紅魔館から出て博麗神社に向かった後、残ったリオンとはそれ以降顔を合わせる事なく五日という時間が過ぎた・・・



















「・・・どうですか、霊夢?ジューダスの様子は?」
「あら、映姫じゃない。まだ約束の一週間までは二日あるわよ?」
「途中の経過観察です。それでどうなんですか?」
・・・博麗神社に小町を伴わず現れた映姫は、神社の掃除をしていた霊夢からの声に答えつつ先を促す。
「問題はないわよ。むしろ彼、結構な掘り出し物と言っても過言じゃないわ」
「掘り出し物?」
「この五日間ジューダスを泊めるにあたってやれることはやってもらうって言ったんだけれど、炊事に洗濯に掃除といったものを任せたんだけど全部ちゃんとやってくれるのよ。特に炊事に関しちゃあんなに料理にレパートリーがあるとは思わなかったから、この五日程のご飯はいつもの感じと違って新鮮だったわ」
「・・・それ、貴女の個人的な感想というだけではないのですか?」
「あんたからしたらそう思うかもしれないけど、たまにやってくる大抵の外来人ってここに滞在させてもろくに家事が出来ないからめんどくさいって思ってたのよ。でもそういった事をちゃんと、それも満足出来るまでやれるとは思ってなかったから掘り出し物って思っちゃったのよ。外に出ないって聞いたし、別にジューダスならここに置いてもいいかなって思うくらいにはね」
「・・・なんですか、その生臭な理由は・・・」
だがそれで霊夢から話を聞いていく中でジューダスの評価に関して、映姫はたまらず肩を落として脱力した。霊夢らしいと言えばらしいが、あまりにも何とも怠惰な理由に。
「・・・仕方ありませんからそこは置いておきますが、ジューダスはどこですか?直接彼にも話を聞きたい所なんですが・・・」
「あぁ、人里に買い物に行かせたわよ。ちょっと足りないものがあったし、ジューダスの強さなら問題ないと思ったからね」
「・・・貴女の勘からということなのでしょうが、本当に大丈夫なのですか?それは・・・」
「基本的には逃げるとは言ってたわよ。下手に妖怪退治をして目をつけられても面倒だって言ってたからね。まぁ人里までならジューダスなら大丈夫だと思うわ」
「はぁ・・・経過観察に来たのに当人がそんな理由でいないとは・・・」
それでも気を取り直して前を向き問い掛けの言葉を向ける映姫だが、霊夢が至ってマイペースにいない理由を語るとまた肩を落とす。
「・・・分かりました。道中を観察がてら人里までジューダスを探しに向かいたいと思います。貴女に話を聞きに来たのもありますが、当人に話を聞くのが目的ですからね」
「あら、もう行くの?待ってればいいじゃない、ここでジューダスが帰ってくるのを」
「私もそう暇じゃないんです。少し話を聞けたらすぐに戻る予定だったので、彼に話を伺ったらそのまま戻りますから気にしなくても構いませんよ」
それて再度気を取り直してもう行くと映姫は告げた上で霊夢の元から飛び立って、その場を後にしていく。もう用はないというよう。



「・・・あれ?もう映姫様行っちゃったのかい?」
「・・・何よ。あんた映姫に何か用があってここに追い掛けて来たの?」
・・・そんな映姫を見送った後少しして、小町が霊夢の元に首を傾げながら現れてきたことに胡散臭そうな視線を向ける。









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