運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 前編

「・・・マグナディウエスとやらの脅威性は確かに僕も見ていてよく分かったが、この後なんだろう?神のたまごに再び赴くのは」
「あぁ。早くしろと言いたいんだろう・・・映姫、頼む」
「はい、分かりました」
ただリオンはその話題について早く切り上げるようにとばかりにじれったい声を上げ、ジューダスも理解していると映姫に続きを頼む。


















・・・それでアクアラビリンスを抜けたジューダス達は最後の決戦に挑み、エルレインを倒した後に激昂したフォルトゥナとの戦いに挑んだ。神としての使命を人間や自身の分身である存在達に否定されたことから、ジューダス達を殺した上で今いる人類を全て滅ぼし新たな人類を創造すると。

そんなフォルトゥナの様子を幻想郷の者達は冷ややかな様子で眺めるばかりだった・・・神というには確かに力はあるが、その心根があまりにも幼稚であることやら底が浅い様を見てである。

それでジューダス達がフォルトゥナとの激戦を繰り広げていき、とうとう打倒した後に神の核とも言える巨大なレンズを迷いを見せながらもカイルはレンズを打ち砕き・・・リアラとの別れを告げた後に、他の面々とも別れる時間になった。

その中でハロルドにナナリーといった順番に別れの言葉を交わして消えていき、ジューダスの番となりカイル達と別れの言葉を笑顔で交わしていき・・・次に出てきたのは映姫の顔であった。



『・・・これでそちらの坊っちゃんは幻想入りをしてきたというわけですか・・・』
「幻想入りするには十分な条件を満たしているのは確かなようですわ。その上で普通ならまず現れる筈のない三途の川の向こう側に現れたのは、一応エルレインに甦らされたとは言っても一度死んだという経験があったのが一因ではないかと思われます」
「一因ですか・・・ハッキリしない物言いですね」
「私も彼のように甦らされた上で歴史改変の修正の煽りを受けて消えていったからここに来た、なんて初めての物ですもの。彼以外にも同じような存在がいないので推測くらいしか出来ないというのが実情です」
「・・・その辺りは仕方ありませんか。私もジューダスのような存在が来るとは思っていませんでしたからね」
・・・そうしてシャルティエの複雑そうな声から紫と映姫は会話を交わすが、やはりジューダスの幻想入りの仕方は異例だったのだというよう互いに話し合う。
「その辺りに関しては僕に言われてもどうしようもない事だし、まさかこうして平行世界の僕達と出会うことになるとも思っていなかったが・・・そもそもの話として僕達が博麗神社に来たのはこの出会いを想定してではなく、映姫が僕の処遇を決めるまで一週間程の滞在と八雲紫に妙な事をさせないようにとの話し合いの為だ。色々と回り道になってしまったが、それらについてを進めてもらいたい」
「・・・確かにリオンの事があってからそれらについてを話す機会を失っていましたが、元々はその為に私達は博麗神社に行ったんでしたね・・・」
ジューダスはそんな話を切るよう本来の目的についてを切り出すと、映姫も思い出したというようそうだと漏らす。今までの流れがあまりにも濃い物だったからこそ本来の目的はそうだったと。
「一週間程の滞在ねぇ・・・それに紫の事を警戒してってことらしいけど・・・」
「そうね・・・彼の実力は確かではあるのは見たけれど、性格的な部分もそう明確な目的が無いなら幻想郷に敵対するような思想は無いと思うけど・・・貴方の気持ちを聞きたいわ」
「別に僕は幻想郷で何かするつもりはない。映姫がどのような決定を下すかを待つ時間が欲しいだけであって、その決定も僕を手駒に加えて人に害を為そうというような気に食わん物でなければ基本的に従う予定だ」
「そうですか・・・まぁそういうことなら特に危険性はないと見て問題はなさそうですね。貴方はそういったことで嘘をつくような人ではないのはよく拝見しましたから」
「ってことは博麗神社で一週間ジューダスを預かって暮らすのは確定なのね・・・」
霊夢はそこで紫にどうするのかと視線で問い掛けると応えるようジューダスに確認を取り、その返答に満足したように頷く姿に霊夢は少し面倒そうに頭をかいた。一週間という期間とは言え男と同居という面倒さを感じて。









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