運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 前編

「その辺りに関しましてはリオンの気持ちがアクアラビリンスに流れ着いた、という可能性もまた否定は出来ないでしょうね。平行世界とは似て非なる世界ではあっても、平行というだけあって並んで位置するからこそどことも知れぬ異世界と比べれば断然にかなり近い位置にある世界・・・故にこそジューダスの気持ちも無いとは言わないにしても、リオンの気持ちが主体となったから二刀流のリオンが出てきたと考えられますわ」
「・・・確かに前に使っていた技はいくつかあっても、ジューダスと名乗るようになってからの技に奥義まで使ってくるとは思わなかったな・・・」
「・・・だからあの幻影は僕の気持ちが主体となったものだと言うのか・・・」
そんな時に紫がリオンが主体となった幻影ではないかと切り出し、ジューダスもそうだがリオンもまた複雑そうな顔を浮かばせる。あれがリオンの方の気持ちだと言うなら後悔といった念があったのだという事実だということになるために。






・・・それで一先ず空気を変えようと映像の続きを見ていくのだが、アクアラビリンスの最後に出てきた敵・・・マグナディウエスとの戦いを見た一同は唖然とした表情を浮かべていた。
「・・・あんたら、手加減されてただろうってのを抜きにしてもよくあんなのに勝てたわね。普通に幻想郷の上の方の実力の持ち主でもまず勝てそうにないわよ、あれ」
「確かに薄氷の勝利だった・・・正直、あれがどれだけ手加減されていたのかなど考えたくもない」
霊夢はその中で代表のような形で正直な感想を口にし、ジューダスもまた自分達の方がより分かると首を横に振りながら返す・・・多彩であり苛烈な攻撃手段もさることながら、後半に行けば行くほど力を解放しては終了してのサイクルが短くなったのを考えるとマグナディウエスは本気で戦っていたのではないと両者共に感じた為に。
「ジューダス達がアクアラビリンスに長い年月の中で久方ぶりに訪れた客だったから、一時の戯れというくらいに彼は戦ったのでしょうね。そしてアクアヴェイルでは闘神だったり悪魔だったりと呼ばれかたも様々だったのでしょうけど、その呼び名に相応しいだけの実力は隠している分も含めて十分に有しているのは確かですわ」
「・・・そうね。隠している力がどれだけの物かは分からないけれど、それだけの力があることは分かるわ」
紫も素直にマグナディウエスの力がいかに凄まじいかを称賛し、レミリアも同意をする中で小町が少しイタズラ染みた笑みを浮かべる。
「ちなみにあたいはあんなのなんか頼まれたって戦いたくないけど、同じように悪魔って呼ばれてるあんたは戦う気になれるかい?」
「・・・戦わなければどうしようもない状況ならともかく、自ら戦いたいとは正直思わないわ。あれは八雲紫が言ったように闘神に悪魔という評価を下すには十二分な力を持っている・・・戯れで戦うにはあまりにも強大すぎる相手よ」
「おや・・・あんたなら自信満々に私の相手ではないと言うかと思ったんだけどね」
「馬鹿を言うな、死神。私も自分と相手の力を見紛う程自信過剰ではない・・・マグナディウエスとやらが弾幕ごっこで戦うならまだしも、どちらかが死ぬまでの殺しあいだったら勝てたにしても相当の代償を覚悟しなければ無理だろうよ」
「・・・流石にあんたでもあれ相手じゃそう言わざるを得ないってことか・・・」
そこで挑発するように戦って勝てるかといったような言葉を向ける小町だが、普段の自信満々な様子からは考えられない程に戦うのは考えたくないと全否定するレミリアにそれだけの脅威性を感じているのだと漏らす。マグナディウエスの強さはそれだけの物なのだと。









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