運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 前編

「・・・どういうこと?何かいきなり話が食い違ったけれど・・・」
「・・・ではジューダスから話を聞いた私がその内容についてを説明しますが、簡単に言うなら彼らの世界の千年前に戦争があったんです。その戦争は地上軍と天上軍という二つの軍で戦っていたという物であり、ソーディアンは地上軍が天上軍を倒すためにハロルドが造った兵器であり、ミクトランとはその天上軍のトップでしたが、ハロルドの兄であるカーレルと刺し違ったことにより死んだ・・・と思われていたんですが、カーレルの持っていたソーディアンのコアに人格を逃げ込ませて生き延びていたとのことです」
『な、何だって!?』
「そしてそのソーディアンは千年後にヒューゴという人物が見付けて手に取るのですが、中にいたミクトランはヒューゴを乗っ取り行動をしていき世界を自分という天上軍の王が支配すると動いていき、シャルティエ以外のソーディアンを持ったスタンを始めとした者達がミクトランの元に辿り着いた時・・・ミクトランはその時にスタン達に敗れて流れてくる水にさらわれて死んだリオンの死体を回収するばかりか、自身の傀儡としてスタン達にぶつけてきたんです。辛うじてコロシテクレと言う意識だけは残ったリオンを嬉々として、笑いながら・・・」
「『っ・・・!』」
そんなやり取りに霊夢がいきなり訳が分からないというように漏らしたことに映姫が説明をしていくのだが、話をしながらもミクトランに対して不快だという気持ちを隠せないその中身に対してリオンとシャルティエの二人は息を呑んでしまっていた。まさかそんなことがあったのかというよう。
「・・・あの時の僕は死にきれない痛みと奴に操られる苦痛に抵抗出来ないまま、死を懇願するくらいしか出来なかった。あれが存在しない架空の記憶だなどとは僕は思わん・・・思わんが、それならばお前は誰だという話になる。お前が『リオン=マグナス』だというならあの苦痛を味わっていない事もだが、その記憶がないのはどういうことだと僕から言わせればなるからな」
「・・・どういうことも何もない。僕は海底でスタン達を生かす為に昇降機に乗せて離れた所にあったレバーを上げ、あいつらを見送った以降は水に呑まれて意識を手放すまでの記憶しかないぞ」
「「・・・は?」」
ジューダスがその時の苦痛を語ると共に本当に自分なのかというように疑いの目を向けるのだが、リオンも負けじと返した知らないとばかりの言葉に映姫も共にポカンとしたような声を漏らした。
「・・・何よ?また何か変なことがあったの?」
「・・・彼は今昇降機のレバーを上げてスタン達を見送ったと言いましたが、ジューダスはスタン達に負けた後に急激に流れ込んできた水に呑み込まれたんです・・・その部分だけを聞けば水に呑まれるというのは同じに思うでしょうが、スタン達はいきなりの鉄砲水にさらわれて見送るなどという時間なども無くジューダスもダメージからその場に倒れこんで動けないままに終わったんですよ」
「・・・つまりこっちとそっちじゃ細かいところに違いがある上に、今さっき言ったようにミクトランって奴に操られるなんてオマケがついちゃったのがこっちの方って事ね」
「「っ・・・」」
そんな様子にまた霊夢がどうしたのか聞くのだが、映姫がその違いの事についてを重く返したその中身に何とも言いがたそうに声を漏らし、ジューダスにリオンの二人ともに苦い表情を浮かべた。どうしてこうも同じ存在の筈なのに、こうも違うのかと。









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