運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 前編

「・・・取り敢えず私に付いてきてください。ここがどんな場所であるかを説明するにしても貴方をどうするかを決めるにしても、ここではあまりにも場が拓けすぎていて出来ることは限られてますからね」
「・・・分かった、付いていこう」
それで一先ず仕切り直しも兼ねて付いてくるように言う映姫に、ジューダスも仕方ないと言うように頷く。


















・・・それで二人は是非曲直庁の中の裁判所に来て、まずはと映姫が幻想郷についての説明を行った。ジューダスは明らかに外来人の様相だった為、まずはそこから話をしなければどうにもならないと見てだ。



「・・・幻想郷・・・忘れられし者達の楽園、か。正直こんな場所があるなど想像もしていなかったが、話を聞いてむしろ納得した。どうやら僕は忘れ去られた存在として幻想郷に流れ着いたのだとな」
「・・・随分とあっさり信用するんですね。私の話を嘘だとか信じられないというのが大抵の外来人の反応だと思うのですが・・・」
・・・それで説明は終わるがジューダスの人格に見会わないようなあっさりとした納得の様子に、逆に映姫が不審な物を見るような目を向ける。大抵の外来人はすぐに納得出来るような話ではないのは経験則で知っているのもあってと。
「確かに昔の僕なら信じられるかと言っていただろうが、僕は死後神によって甦らされた身だ。神の存在なら確かにいると言うのは知っているからこういった世界もあるのだと受け入れられただけだ」
「待ってください!・・・神によって甦らされた?ということは貴方は元々は死者だったということですか?」
「そういうことになるが、僕がどういった経緯でこの幻想郷に入ってきたと思ったのか・・・お前が閻魔だというなら隠す意味もないから話しておこう。僕が歩んだ道についてをな」
だがジューダスから出てきたまさかの言葉に映姫はたまらず驚愕するのだが、構わず話を進めていく。自分がいかな人生を歩んできたかについてを・・・


















・・・そうしてジューダスが語っていった話に映姫は愕然とするしかなかった。ジューダスは昔に仲間を裏切って死ぬことになったが、神の分身の一人であるエルレインという存在により手駒となれば幸せにしてやると甦らされ、それを断って行動している内にかつての仲間の子どもであるカイルやもう一人の神の分身であるリアラ達と共に行動していき、時間移動なども繰り返した後にエルレインや神の本体とも言えるフォルトゥナと戦って勝ったのだが、神の力により甦った上にエルレインの起こしたタイムパラドックスが神が死んだことから全て修正される事となり、その中で自分は元々死んでいたんだから消えることになったのだと。

ただそれらの話についてあまりにもスケールが大きかったことやあくまで本人が言っているだけの事で真偽が確かめられないということから、浄波瑠の鏡を用いてジューダスの生涯についてを映姫は見ていくのだが・・・それらが嘘ではないことを確認した映姫は思わずかぶりを振ってしまった。こんなことが例え違う星の事とは言え、起きていたのだということに。



「・・・どうやら僕が言ったことが嘘ではないと理解したようだな」
「・・・浄波瑠の鏡で見られたというのに、抵抗感はないんですね」
「その手の類いの事はエルレインで経験済みだ。そしてここはあの世の裁判所のようなものなのだからそういったことを見られるのは当然だろう」
「・・・慣れと覚悟からということですか・・・」
・・・そうして全てを見終わった映姫に対してジューダスが平然とする理由についても聞いたことに、思わずタメ息を吐きたそうな表情になってしまった。あらゆることに人間ながら慣れすぎてしまっているジューダスの様子を見て。









.
3/17ページ
スキ