運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 前編
・・・幻想郷におけるあの世の裁判を行う是非曲直庁。ここは幻想郷の外でも知られる死んだ者だけが渡し守に渡し賃を渡せば渡れるという三途の川の先にあり、幻想郷で死ぬか外から迷いこんできた魂を天国行きか地獄行きと判断する場所である。
そしてそこの最高責任者である四季映姫は閻魔という立場に驕らず正しくあろうとし、時には周りから迷惑がられることを承知の上で幻想郷を練り歩いて人妖問わずに交流してきたり、見過ごせない事をしている者には説教したりと空いている時間をアクティブに使うことが多かった。
そんな映姫は仕事を終わらせ時間が空いたということから人里に向かおうと、いつものように是非曲直庁を出た。
「・・・おや?こんな所に人・・・?」
・・・三途の川に向かう道の途中にて、花が咲き乱れる原っぱにて。
ただそこを通りすぎようと空を飛んでいた映姫は、花畑の中に黒い服を着た誰かが倒れこんでいることに気付いてその人物の元に降り立つ。
「・・・見たところ生きている人間の青年のようですが、何でこんな所に倒れているんでしょうか・・・いえ、それは起こしてから聞けばいいことですね」
そのまま映姫はその人物についてを観察していくのだが、考えを切り替えて青年の身体をユサユサと揺らす。
「・・・ん・・・うぅ・・・」
「目覚めましたか?」
そうすると少年は気が付いたように声を上げ、映姫の言葉に目を開いた後にゆっくりと立ち上がり周りを見渡す。
「・・・ここは・・・僕は、一体・・・?」
「落ち着いてください。まずは貴方の名前を言っていただいてよろしいですか?」
「・・・名前、か・・・ジューダスと名乗っている」
「・・・名乗っている、ですか。随分と意味深な言葉ですが、まぁ一先ずはいいでしょう。こちらとしては言いたいことは他にもありますから、その中でお聞きしていきます」
困惑といった様子を浮かべる少年にまずはと名前を尋ねると、言葉回しとして気になるというようジューダスと名乗った青年に油断ならないという視線を向ける。
「待て。名前を尋ねるだけ尋ねておいてそちらの名前を言わんのは礼儀に反するのではないのか?」
「そうですね・・・言い方は気になりますが、私から聞いた以上はお答えします。私は四季映姫と言い、閻魔の役職についています」
「閻魔・・・ということは僕は死んだということなのか?」
「おや、死んだという自覚があるのですか?」
「あぁ、いや・・・少し言葉にするのは難しいが、僕は生きているのが本来おかしい人物であるのには違いないが・・・ということはここはいわゆるあの世と呼ばれるような場所なのか?」
「・・・自分が死んだという自覚があるのですか、貴方は?」
「・・・似たような物だ」
だが続けられた鋭い視線からのジューダスの言葉に自己紹介をすると、閻魔という部分に反応したことから話は進むが二人ともに難しい表情を浮かべる中・・・思わず顔に手をやったジューダスはハッとした表情を浮かべた。
「・・・仮面がない・・・!?」
「仮面?貴方、仮面を付けていたというんですか?と言ってもそれらしいものは辺りには見当たりませんが・・・」
「どういうことだ、一体・・・!?」
「仮面が見つからないというだけでそこまでになるとは・・・それにジューダスと名乗っているとの発言もそうですが、何より貴方はまだ生きています。そんな貴方がこの彼岸に倒れていたのか、こちらとしても気になります」
「何・・・僕は生きているというのか・・・!?」
「・・・どうやら少し貴方の事についてを真剣に解決しなければいけないようですね、これは・・・」
そこで出てきた仮面がないとの言葉に続いて生きているとの事に驚くジューダスに、映姫も事の大きさに少し難しげに表情を歪めた。かなり厄介な様子が今の話だけでも伺えるということに。
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そしてそこの最高責任者である四季映姫は閻魔という立場に驕らず正しくあろうとし、時には周りから迷惑がられることを承知の上で幻想郷を練り歩いて人妖問わずに交流してきたり、見過ごせない事をしている者には説教したりと空いている時間をアクティブに使うことが多かった。
そんな映姫は仕事を終わらせ時間が空いたということから人里に向かおうと、いつものように是非曲直庁を出た。
「・・・おや?こんな所に人・・・?」
・・・三途の川に向かう道の途中にて、花が咲き乱れる原っぱにて。
ただそこを通りすぎようと空を飛んでいた映姫は、花畑の中に黒い服を着た誰かが倒れこんでいることに気付いてその人物の元に降り立つ。
「・・・見たところ生きている人間の青年のようですが、何でこんな所に倒れているんでしょうか・・・いえ、それは起こしてから聞けばいいことですね」
そのまま映姫はその人物についてを観察していくのだが、考えを切り替えて青年の身体をユサユサと揺らす。
「・・・ん・・・うぅ・・・」
「目覚めましたか?」
そうすると少年は気が付いたように声を上げ、映姫の言葉に目を開いた後にゆっくりと立ち上がり周りを見渡す。
「・・・ここは・・・僕は、一体・・・?」
「落ち着いてください。まずは貴方の名前を言っていただいてよろしいですか?」
「・・・名前、か・・・ジューダスと名乗っている」
「・・・名乗っている、ですか。随分と意味深な言葉ですが、まぁ一先ずはいいでしょう。こちらとしては言いたいことは他にもありますから、その中でお聞きしていきます」
困惑といった様子を浮かべる少年にまずはと名前を尋ねると、言葉回しとして気になるというようジューダスと名乗った青年に油断ならないという視線を向ける。
「待て。名前を尋ねるだけ尋ねておいてそちらの名前を言わんのは礼儀に反するのではないのか?」
「そうですね・・・言い方は気になりますが、私から聞いた以上はお答えします。私は四季映姫と言い、閻魔の役職についています」
「閻魔・・・ということは僕は死んだということなのか?」
「おや、死んだという自覚があるのですか?」
「あぁ、いや・・・少し言葉にするのは難しいが、僕は生きているのが本来おかしい人物であるのには違いないが・・・ということはここはいわゆるあの世と呼ばれるような場所なのか?」
「・・・自分が死んだという自覚があるのですか、貴方は?」
「・・・似たような物だ」
だが続けられた鋭い視線からのジューダスの言葉に自己紹介をすると、閻魔という部分に反応したことから話は進むが二人ともに難しい表情を浮かべる中・・・思わず顔に手をやったジューダスはハッとした表情を浮かべた。
「・・・仮面がない・・・!?」
「仮面?貴方、仮面を付けていたというんですか?と言ってもそれらしいものは辺りには見当たりませんが・・・」
「どういうことだ、一体・・・!?」
「仮面が見つからないというだけでそこまでになるとは・・・それにジューダスと名乗っているとの発言もそうですが、何より貴方はまだ生きています。そんな貴方がこの彼岸に倒れていたのか、こちらとしても気になります」
「何・・・僕は生きているというのか・・・!?」
「・・・どうやら少し貴方の事についてを真剣に解決しなければいけないようですね、これは・・・」
そこで出てきた仮面がないとの言葉に続いて生きているとの事に驚くジューダスに、映姫も事の大きさに少し難しげに表情を歪めた。かなり厄介な様子が今の話だけでも伺えるということに。
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