焔の存在を幻想にさせぬ為に

「えぇ・・・ですがその前にお聞きしますが、貴殿方は私がどのような存在に思えますか?」
「・・・少なくともただの人間ではないことは間違いないでしょう。その貴女のいる空間を見る限り・・・ただ、その体の下半身はどうなっているのですか?そこで貴女の下半身が魔物であればいっそ疑問は無くなるのですが・・・」
「あら、これはこのような姿で失礼しましたわ・・・これでよろしいでしょうか?」
「っ・・・えぇ、構いませんよ」
それで紫は本題を話す前に自分がどう見えるかを聞いてきたためジェイドが慎重に探るような声を向けると、失念していないのに失念したといったような声を上げた紫の声の後に空間が広まり、紫はその全身を露にして空間から地面に降り立つ。だがジェイドは圧されそうになるのを何とか抑えながら頷くしかなかった・・・何故ならその空間をよく見てはいなかったが、紫の開いた空間の中身は紫色の空間で至るところに目玉が浮かんでいると言う奇怪以外の何物でもない光景が見えた為に。
「・・・見た目だけなら人間の女と言えるだろう。それも絶世の美女とも言えるレベルのだ。しかし・・・明らかにまとっている空気が人間の物には思えんが、お前は人型の魔物なのか?」
「魔物ではありませんが、そう遠くもありません。私は妖怪と呼ばれる種族ですわ」
「妖怪・・・?」
「それではこれから話すことの説明の為に、妖怪の事を少しレクチャー致しますわ。協力と言った事に関して色々と必要ですので」
それでアッシュも慎重そうに人間じゃないだろうから魔物ではと言うが、妖怪と返ってきたことに怪訝そうな表情を浮かべる中で紫の話が始まる。妖怪の事についての・・・






・・・妖怪。それは人にとって理解がし難い現象であったり、超常的な力を持つ者を総称する。もののけであったりあやかしなどとも呼ばれ、魔物とも呼ばれることもあるが・・・






「・・・それはあくまでも妖怪の呼び名の一つのようなものであり、このオールドラントに生息するような魔物とは一線を画する存在ですわ。あれらの魔物は広義的な意味で言えば狂暴でこそはあるものの、動物の種族として捉える事が出来ます。ですが妖怪はそういった動物の種族として狂暴な物を魔物と呼ぶのではなく、それこそどうして生まれ落ちたのかにどこから来たのか・・・人間の思うような生まれ方に進化などに留まるような存在ではなく、そして私のような人型の姿をしていたり獣そのもののような姿をしていたりとその有り様もまた千差万別・・・数が多い種族には代表的な物として鬼や天狗と言った種族に団体がいますが、そういった人には及びもつかない存在を種族など関係無く総称して妖怪と呼びますの」
「・・・話だけ聞くなら良く出来た作り話の設定だとでも言えると思いますが、超常的な力を持つ者という所では嘘をついてらっしゃる様子はありませんね」
「少なくともただの人でない事は確かではあるが・・・そんな存在がわざわざ俺達に協力して欲しいだと?とてもじゃないが、さっきの裂け目を見ただけでも俺達人間の助けが必要だとは思えないがな」
「私もそう思いますが・・・」
「いいえ、貴殿方の助けがなくてはならないのです」
・・・それで妖怪の事についてを話終わりアッシュとジェイドは信じるからこそ協力を願う理由がないのではと言うが、紫は扇子を手元に戻しその言葉を否定する。









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