最後の陸の黒船の剣の使い手と天剣の使い手
「まず言えることとして、お前の強さは大したものだということだ。単純な早さならお前は俺も上回る上、それだけの早さに振り回されることなく完全に制御しながら動けている・・・正直な所、剣心が勝てたのが不思議なくらいな上に志々雄より弱いというのがおかしいとすら思ったくらいだ」
「あはは・・・そうは言いますけど僕は緋村さんに負けましたし、志々雄さんは僕より全然強いですよ」
「お前はそう言うが俺の見立てではお前が二人に負けるような要素は肉体的にはないと今の手合わせで確認した・・・そして剣心がお前と戦った時の話を思い出した上で、志々雄がお前より強いと言い切れるのは何故かと考えて手合わせで感じたものと合わせてみれば、自ずと答えは出た・・・それは『瀬田宗次郎』という剣士は表向きは完成していたが、その実は精神的には全く成長していたからだとな」
「・・・え・・・?」
比古は率直に自身の感じたことを口にして行くが宗次郎が謙遜ではなく本気でそう思っているというように笑顔で返すが、続けられた言い回しの難しい言葉に戸惑いに眉を寄せる。
「志々雄がどんな奴なのかは話でしか聞いていないが、自分の敵に対しては容赦はないがそうでない相手には自身の器を示すような事をする奴だろうという事は想像はついた。その上でお前は志々雄一派の中で最古参の人物だったといった事は聞いたが、その見た目に最古参という言葉からしてかなり小さい頃から志々雄に付いていったのだろう?」
「・・・まぁ、それは」
比古がそのまま何を言いたいのかと話を続けていく中、小さい頃からとの言葉に宗次郎らしくもなく目を伏せてトーンの落ちた声で肯定する。その姿にそっと目を細めた比古だが、すぐに口を動かし出す。
「志々雄が弱肉強食という言葉をよく口にしていたことも聞いてはいるが、いかに志々雄でも年端もいかないガキにただ敵が現れたからお前が殺しにいけと、戦いかたも何もろくに教えずに戦いに送り出す事はしなかっただろう?」
「確かにそうですね・・・志々雄さんに付いていく最初の内は剣術を教えてくれましたし、数が多かったり当時の僕では勝てないだろうといった相手の時は俺がやると言って敵を倒していってました」
「そうか。まぁそれでその内にお前が並大抵の奴には負けないくらいの腕になった頃にはそれも無くなりはしたんだろうが、それは同時に志々雄からしたなら『瀬田宗次郎』が自分の持つ戦力となったと見たからだろう。それが力を持っている上で自分に敵対しない者に対してその強さを信頼しているからこそそうするんだ、といったような考えからだ・・・まぁそこまでは志々雄の人としての考え方ということで置いておいた上で、縮地やら一切合切を含めたお前の素質を見出だした事まではいいだろう。しかし俺の言葉を前提に話すならお前は志々雄より上に立てる程の強さは十分に有している筈なのに、何故お前が志々雄に勝てないのか・・・その理由として技術的な物として挙げられるのは、単純な話として慣れに尽きる」
「慣れ?」
それで志々雄とどういったように過ごしていったかを聞いた上で何が理由かと告げた比古の言葉に、宗次郎は首を傾げた。慣れと簡単すぎる言葉に。
「・・・確かにお前の早さは凄まじい。常人では反応してかわすなど到底出来んだろうし、実際に縮地の領域にまで早くなった時に対応出来た敵など剣心まで数えるほどもいなかったのは想像がつくがどうだ?」
「そうですね・・・確かに三歩手前の早さでも仕留める事は簡単に出来ました」
「そうだろうが、だからこそお前の剣は俺からすれば単調に見えたんだよ。目眩ましにと縦横無尽に走り回って動きはするが、肝心の対象に斬りかかる動きは何の捻りもないただの斬擊でしかないとな」
比古はそんな宗次郎に問い掛けを向けつつ話を進めていく。いかに自分が感じたのかについてを。
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「あはは・・・そうは言いますけど僕は緋村さんに負けましたし、志々雄さんは僕より全然強いですよ」
「お前はそう言うが俺の見立てではお前が二人に負けるような要素は肉体的にはないと今の手合わせで確認した・・・そして剣心がお前と戦った時の話を思い出した上で、志々雄がお前より強いと言い切れるのは何故かと考えて手合わせで感じたものと合わせてみれば、自ずと答えは出た・・・それは『瀬田宗次郎』という剣士は表向きは完成していたが、その実は精神的には全く成長していたからだとな」
「・・・え・・・?」
比古は率直に自身の感じたことを口にして行くが宗次郎が謙遜ではなく本気でそう思っているというように笑顔で返すが、続けられた言い回しの難しい言葉に戸惑いに眉を寄せる。
「志々雄がどんな奴なのかは話でしか聞いていないが、自分の敵に対しては容赦はないがそうでない相手には自身の器を示すような事をする奴だろうという事は想像はついた。その上でお前は志々雄一派の中で最古参の人物だったといった事は聞いたが、その見た目に最古参という言葉からしてかなり小さい頃から志々雄に付いていったのだろう?」
「・・・まぁ、それは」
比古がそのまま何を言いたいのかと話を続けていく中、小さい頃からとの言葉に宗次郎らしくもなく目を伏せてトーンの落ちた声で肯定する。その姿にそっと目を細めた比古だが、すぐに口を動かし出す。
「志々雄が弱肉強食という言葉をよく口にしていたことも聞いてはいるが、いかに志々雄でも年端もいかないガキにただ敵が現れたからお前が殺しにいけと、戦いかたも何もろくに教えずに戦いに送り出す事はしなかっただろう?」
「確かにそうですね・・・志々雄さんに付いていく最初の内は剣術を教えてくれましたし、数が多かったり当時の僕では勝てないだろうといった相手の時は俺がやると言って敵を倒していってました」
「そうか。まぁそれでその内にお前が並大抵の奴には負けないくらいの腕になった頃にはそれも無くなりはしたんだろうが、それは同時に志々雄からしたなら『瀬田宗次郎』が自分の持つ戦力となったと見たからだろう。それが力を持っている上で自分に敵対しない者に対してその強さを信頼しているからこそそうするんだ、といったような考えからだ・・・まぁそこまでは志々雄の人としての考え方ということで置いておいた上で、縮地やら一切合切を含めたお前の素質を見出だした事まではいいだろう。しかし俺の言葉を前提に話すならお前は志々雄より上に立てる程の強さは十分に有している筈なのに、何故お前が志々雄に勝てないのか・・・その理由として技術的な物として挙げられるのは、単純な話として慣れに尽きる」
「慣れ?」
それで志々雄とどういったように過ごしていったかを聞いた上で何が理由かと告げた比古の言葉に、宗次郎は首を傾げた。慣れと簡単すぎる言葉に。
「・・・確かにお前の早さは凄まじい。常人では反応してかわすなど到底出来んだろうし、実際に縮地の領域にまで早くなった時に対応出来た敵など剣心まで数えるほどもいなかったのは想像がつくがどうだ?」
「そうですね・・・確かに三歩手前の早さでも仕留める事は簡単に出来ました」
「そうだろうが、だからこそお前の剣は俺からすれば単調に見えたんだよ。目眩ましにと縦横無尽に走り回って動きはするが、肝心の対象に斬りかかる動きは何の捻りもないただの斬擊でしかないとな」
比古はそんな宗次郎に問い掛けを向けつつ話を進めていく。いかに自分が感じたのかについてを。
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