神に最も近い男と神のいたずらで生まれ残った男

「・・・君は、妖怪ではないようだが?」
「お前達の認識から言うならばロボットという存在だ・・・少し頼みごとがあってきた」
「頼みごと?何かね?」
二人の前に立つゼロにシャカが顔を向けつつ何者なのかを問うと、簡潔な答えの後に出てきた頼みごととの言葉に先を促す。






・・・そうしてゼロから出てきたのは話に聞いた二人へと辿り着けない結界を解いてくれないかと言ってきてほしいと言われたから来たとの事だった。命蓮寺の代表である聖白蓮は二人と顔合わせをしたいと願っているのに、その結界が作用しているせいで聖はここには来れずに仕方無く妖怪ではないゼロを代理で寄越したのだと。






「・・・というわけだが、どうだ?」
「・・・まぁいいだろう。顔を見たいというだけなら別段困ることもないが、ここに来れぬということもだが妖怪を受け入れる寺ということから聖白蓮当人も人に属せぬ身にあるということだからではないかね?」
「あぁ、簡単に話を聞いているが元々は人間だったが魔法使いとなってそれをやめたとのことだ。だからこそ永遠亭にいるような蓬莱人とは違い、妖怪に近い魔の空気があるのだろう。その辺りからお前達の結界に阻まれるという結果になったんだろうな」
「そうか・・・まぁ顔を合わせるくらいだ。いつに来るか伝えてくれれば結界を解くようにしよう」
「分かった、そう伝えよう」
・・・そうして話が進んで聖の事についてを了承するとシャカが返せば、ゼロも頷き返す中でアベルはそっと眉を寄せる。
「・・・お前はからくり仕掛けの生物ではない存在だとの事だが、随分と人間らしく感じるな。話している様子を見るだけでは変わった鎧を身に纏っただけの人間にしか思えないが・・・」
「・・・そういう風に造られたからそうだとしか言いようがないな。レプリロイドもそうだがロボットも人間としての見た目に近付けないお前達の言うようなロボットのような見た目の者もいたが、俺の場合は造った者からしての考えもあってだろうがこうなっただけだ・・・」
「・・・そういったような話を聞けば聞くほど、一層にそんなからくり仕掛けの存在だということが信じられんな。特にお前を造った者に関しての話になった際、僅かに寄った眉間のシワは人間のように悩むか快く思っていないというような物にしか見えなかったぞ」
「っ・・・!」
そうして確かめるように話を振るアベルに対してゼロは答えを返していくのだが、その中での反応を目敏く口にしたことにたまらずゼロは声を詰まらせた。ほんの僅かな様子を見られたと思わなかったために。
「ふむ・・・君がいいなら君のことを我々に話してみないかね?何があったかは知らぬが、我々に言うことで何かが変わるかもしれぬよ」
「・・・話すのはいいがその中身をみだりに触れ回るのはやめてくれ。俺としてはあまり広められたくない類いの話なのでな」
「分かった」
その様子にシャカも興味を示して話すように言うと、条件を出してきたゼロにそうするとすぐに頷き返す。


















・・・そうしてゼロは自身の生涯について及び、自分の抱える苦悩についてを話していった。



「・・・成程、それが君の抱える苦悩か。自身を造った者が自身に望んだことと、図らずも得てしまった元の自分とは違う今の自分との差異という立場と心が」
「・・・そうだ」
・・・そうしてゼロが話終わり、シャカがまとめるように口にした言葉に苦々しく頷く。









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