神に最も近い男と神のいたずらで生まれ残った男

・・・そうして二人は少しした後、妹紅が連れてきた人里の者達に慧音(半人半妖といった体質で二人が迷わせてきた為に最初は二人の元に辿り着けなかったが、妹紅の取り成しによって彼女に関しては二人の元に辿り着けないのはその人柄もあって解除された)との話し合いにより二人が永遠亭まで送ること及び帰る際の案内が必要な場合は有事の時は担当することになったのだが・・・これに関してしばらく続いていくと、予想外の誤算が人里の人間達からすればあった。それは妹紅と一緒の時でも知性のない妖怪相手だったなら永遠亭に行く最中に襲われることはあったが、二人の内どちらかが付いていく際には何回永遠亭の行き帰りを行っても襲撃がなかったのだ。

この辺りに関してを妹紅に慧音の二人はどうしてかとシャカ達に聞いたのだが、単純に自分達の近くに来た妖怪達を自分達から遠ざけるように迷わせる形で力を使っただけと答えたことに、二人は唖然とするしかなかった。まさかそんないかにも難しいとしか言いようがないだろうことをあっさり言い切ったことに。

しかしその言葉を疑った妹紅が本当にそんなことが出来るのかと言ったのだが、そこは実験という形でアベルが作った迷宮を突破して永遠亭にまで向かってみるようにと迷いの竹林の中を歩かせてみると・・・何度やっても永遠亭に向かう道を歩いていったはずなのに、アベル達の元に気付けば戻ってくるということを繰り返した為に二人も認めざるを得なかったのだ。これがシャカ達の力であると共に、妖怪達を欺くことなどこれなら容易い事だということを。

そうして二人に頼めば確実に安全と見た人里の者達は、永遠亭に用がある際は妹紅ではなく二人に頼むことが増えていった。これは取っ付きにくい部分があるとはいえ妖怪に襲われる可能性が無くなることを考えれば、そもそも体調やらを鑑みて永遠亭に向かうことを決めたのだから妖怪の不意打ちを絶対に受けないという安心を取る意味では妥当と言えよう・・・ただその影で妹紅が時間が取れるようになったとは言ってはいたが、肩を落としていたのを後で見たというのは慧音が知る余談である。

ただそんな力にあやかるというか是非とも人里に来て人間の力になってほしいだとか、戦い方を教えてほしいと言った声を向けられることもあったがそれらの声に関しては全て断る形で一蹴した。これは映姫の言葉もあったが、力になることに関しては二人が人里の戦う力になった瞬間に戦力のバランスが人里側に傾くだろうことは確実な上、戦い方に関してはそもそもの話として聖闘士というかシャカ達のいた世界における闘士達の力の根源・・・小宇宙に目覚める事が出来るような者がいなかったことにある。

これは原理の異なる平行世界から来たことによる弊害もあるだろうが、そもそもとして言うなら小宇宙を力として扱うことはおろか引き出すことが出来る者自体がかなり限られる物なのだ。ただそれでも鍛えれば小宇宙を扱うことも出来るようになることも有り得るかもしれないが、そうなるためには普通の人間からしたなら想像を絶するような過酷な修行に身を投じなければならない。それも死を覚悟どころか死線を何度も何度も超えるような過酷なんて言葉では到底足りないような修行をだ。

それらを考えれば人里の者達を鍛えるというわけにはいかないが、それでも辛いなら耐えると言い出しかねない者も出てくるのではという懸念もあった為、自分達のこの力は聖衣という神が作った物による部分が大きい上にそれ以外の力も聖衣に選ばれた者としての賜り物として与えられた部分が大きいから、教えることは出来ない・・・というように嘘をつく形で人里の者達に話をして、諦めてもらうことにした。実際のそのエピソードはシャカ達が戦ってきたハーデス軍の戦士である冥闘士の物であることは言わない形でだ。


















・・・そうして永遠亭への道案内も時折挟みつつ日々を瞑想しながら過ごす二人は、時間が進んで命蓮寺が幻想郷に現れてしばらくした頃にとある人物の来訪を受けた。それが誰かと言われれば、ゼロであった。









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