神に最も近い男と神のいたずらで生まれ残った男

・・・そんなことを映姫が考えているなど露知らず、場面は小町が幻想郷側の三途の川のほとりに二人を送った所へと場面は変わる。






「さて・・・こうしてこっちに戻ってきたわけだけど、何処かあんたら行く宛はあるのかい?一応は永遠亭っていう打算ありきで受け入れてくれた所はあるけどさ」
「そうだな・・・俺としては打算というよりメリットを提示してまで奴らの元に行く気にはならん。むしろメリットを提示すると言えば奴らが何らかで困った時に駆り出されかねん事が考えられる」
「かといって他に行く場所など人里くらいだろうが、そちらに行くことはあまり我々の力の事を考えれば望ましくは無いだろう・・・まぁそうなれば野宿で済ませよう」
「はっ!?野宿ってここが何処だと・・・ってそうか・・・むしろあんたらが相手なら妖怪達の方の心配をしなきゃならないけど、それだと映姫様の言いつけに背く事にならないかい・・・?」
・・・そうしてここでお別れとばかりに小町は二人に話し掛けるのだが、平然とシャカが野宿と言い出したことに驚くと共に別の意味で大丈夫なのかと問いかける。
「その辺りに関しては私達に付いてきたまえ。どうするかを体感させよう」
「体感・・・なんかあまりいい予感がしないね・・・」
だが返ってきた体感との言葉にますます小町はなんとも言いがたそうに表情を歪めるしかなかった。シャカがやることのスケールのでかさは先程嫌というほど見てきたために・・・



















・・・それで三人は迷いの竹林の人里側から少し中程に入った所で、先頭を歩いていたシャカが小町の方に振り返りつつ地面に座り込む。
「さて・・・では物は試しだ。小町よ、ここから人里に向かってからこちらに戻ってくるようにしてみたまえ。何なら君の能力を使ってくれても構わん」
「・・・それだけでいいのかい?」
「うむ。論より証拠だ」
「・・・分かったよ。んじゃ行くよ」
そうしてシャカが小町にやることを説明すると、不可解そうにしながらも人里の方に向かい歩き出して二人の元から消えていく。



「・・・あっ、あれ!?ど、どうしてここに!?」
・・・だが数秒後、二人の元から離れた小町がまっすぐ戻ってきた事に慌てて後ろを振り向いて人里の方に焦って離れだす。



「・・・はっ!?いやいやいや、いくら迷いの竹林って言ったってここから人里までは迷いようがない場所だろ!?なのにどうしてここに戻ってきたんだよ!?」
・・・だがまた数秒後、小町が二人の元に戻ってきたことに一層慌てた顔と声を漏らした。あまりにも不可解な現象を前にして。
「君も見ただろう?浄波瑠の鏡で私が巨蟹宮を迷宮に変えた様子や、アベルが双児宮を迷宮に変えるという双子座の迷宮の事を・・・私がやったのはあれらの応用であり、君がここにしか来れないようにというように調整したものだよ」
「そ、そんなことも出来るのかい・・・」
「そう。そしてこれを更に応用すればこの竹林を住みかとする妖怪程度なら、私達の元に来れる筈も気付ける筈もないようにした結界を張ることも出来る・・・まぁ誰も来れない上に気付けないというのは映姫様に報告することもあって君が困るだろうから、妖怪限定の目眩まし程度にしかそうはしないようにするがね」
「はぁぁぁ・・・そんなことも出来るのかい・・・そして一応確認するけど、アベルも出来るのかい?今シャカが言ったようなことは・・・」
「無論だ。そしてやろうと思えばこの迷いの竹林全体の更なる迷宮化も出来るが、そこまでする理由などないし俺達の元に来させない程度の結界に迷宮ならなんとでもなる」
「そうなのかい・・・相性が悪いってのは予想はしてたけど、そんなことを聞いちゃ迷宮に入れられた時点で私じゃ勝ち目なんてないね・・・」
そんな様子に微笑を浮かべながらシャカがこれからどうするのかも併せて説明するような形で原理を説明し、小町がアベルにも話を聞く形でどうするのかと聞けば脱帽以外にないというようにうなだれながら声を漏らすしかなかった。距離を操れる程度の能力を持つ小町だがあくまでそれは目的の物や場所までの距離を操れることにあって、それらがハッキリ分からなくなるなら小町がどう能力を使おうが逃げようも何も無くなるということが分かり・・・









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