意識の境界に認識のすり合わせ

「・・・弔いも出来ないまま、悪い。でももう行かなきゃならないから、離れさせてもらうぞ・・・ラルゴ・・・」
そしてルークもまた完全に動かなくなったラルゴを確認するのだが、悲痛な表情を残してジェイドと共に場を後にしていく・・・やはり覚悟はしていたとは言え、深い事情があると知っているラルゴを殺さなければならなかった悲しみを抱き・・・






・・・それで二人は甲板上に出て辺りを確認するが、アッシュもそうだが他の六神将らしき存在の影も形もないのを確認して一息つく。
「・・・なぁ、ミュウはどうした?やけに大人しいけどよ」
「ナイトメアを応用して作ったこちらの箱の中でしばらく眠ってもらってます。こういった危険な場ではぐれないこともそうですが、アッシュとの会合を始めとしてあまり人に聞かれたくない話をするにはミュウの正直さが面倒になりかねませんからね」
「まぁ言いたいことは分かるけど、ナイトメアを応用って・・・昔より更に技術力ついたんじゃないか?」
「エルドラントでの戦いからもずっとマルクト軍に所属していましたが、軍人としてもありますが技術者としても頼られてきたからです。音素を使わない技術の発展を世界規模で求められてきましたから、しばらくの間軍にいるより研究室にいることの方が長い時もありましたからね。この箱はその時に開発した技術と今のこの音素を使える時だからこそ出来る今と昔を掛け合わせたハイブリッドの一品ですよ」
「すごいな・・・」
そんな中でルークはミュウがやけに何も言わず大人しい事についてを気にするが、ジェイドが取り出した透明の箱に入って寝ているミュウと説明を受けて素で感嘆の声を上げる。昔よりも更に進化したジェイドの頭脳に。
「ですので取り敢えずしばらくはミュウには眠っていてもらいますが、早くアッシュと合流したいところです」
「だな・・・」
「その心配はない」
「っ!アッシュ!」
そんな空気を変えて本題のアッシュとの合流についてを話し合おうとするのだが、そこにアッシュが上から飛び降りて現れた。
「待っていたのですか?」
「前の記憶と照らし合わせてここから来るだろうと思い、こちらに向かってきただけだ・・・取り敢えず人のいない部屋に行くぞ。今の立場上あまり人に見られるのは望まれる事じゃない」
「では少し戻りましょう。ラルゴと取り巻きの兵士を倒しましたから、一先ず戻った通路の部屋に入ればしばらくは誰も来ないでしょうからね」
「待て・・・ラルゴはもう倒したのか?」
「はい、もう死んでいますが・・・何か不都合でもありましたか?」
「・・・ならその状況を利用するから、お前達二人は先に部屋に入っていろ。下手に他の神託の盾が入り乱れるような状況ではおちおち話も出来んから、人払いをしてそちらに行こう」
「分かりました。では一番近い部屋で待っています」
ジェイドはそんなアッシュに普通に答えてから会話をし、少し思案して行動を起こしてから合流するとの答えが返ってきたことに二人は頷いて来た道を戻っていく。
「・・・何かホント、三十年もあると変わるんだな・・・俺が会ってなかったからっていうか、俺の存在は厳密にはちょっと違うけれど・・・」
「貴方は貴方ですよ。そしてアッシュはアッシュ・・・三十年の時があれば人は変わります、良くも悪くも。そんな彼は一つの存在に戻ったこともありますが、王として生きてきた年月から相応に落ち着きと思慮深いという面を手に入れました・・・頼りになることは私が保証しますよ」
「それは分かってるよ」
そしてその道すがらルークとジェイドは会話を交わす。年月を経たアッシュの頼もしさを強く感じていると。









.
14/21ページ
スキ