神に最も近い男と神のいたずらで生まれ残った男

「・・・彼らは何者なのかしら?」
「簡単に言うなら外来人よ。ただし二人とも、外ではもう死んだ人間ということらしいわ」
「死んだ・・・あれが?実体があったように見えたわよ?」
早速とばかりに紫が聞いた単刀直入な問い掛けに永琳が答えを返すが、霊夢の当然の疑問に周りも頷く。
「彼らもその辺りが分からないといったような様子ではあったものの、この幻想郷の事を聞いていく上で三途の川に彼岸の存在を知ると自分達はそこに向かうと言い出したのだけれど・・・その時にはもう夜を明けないようにする計画を止めることが出来ない段階にあった上で、下手にあの二人から情報が漏れたならと考えた時に私達の目的が達成されるまでか、こうして貴方達に止められるまで永遠亭にいてほしいと願ったの。どうなるにせよ終わったならちゃんと三途の川まで案内するからとね」
「・・・もう死んでいるのだからいっそ奴らを始末するという考えにならなかったのは、奴らの強さを感じ取ったからかしら?」
「レミリア・・・?」
「・・・えぇ、正直な所として最初は確かに貴女の言うような考えが浮かばなかったこともなかったわ・・・けれど彼らと敵対しても私や姫ならまだ負けても死なないにしても、鈴仙にてゐの二人では即座に殺されていた可能性が非常に高いと見たから穏便に済まそうと決めたの」
「やはりそうか・・・」
「ねぇ、何をあんた一人で納得してるのよ?何を考えたか言いなさい」
永琳は律儀にこうしていったと返す中でレミリアがやけに気を張らせたように言葉を漏らしていく様子に、霊夢はうざったいとばかりに要点を言うように声をかける。
「・・・八雲紫もそうだろうが、あの二人の秘めている力の強大さと在り方を異常と見たのよ。霊夢や魔理沙だったりの力とは違う、まるで小規模な宇宙がそのままそこに存在しているかのような異質な存在感をね」
「小規模な宇宙・・・確かに私もそう見ましたわ。彼ら二人の内に広がる力の大本は、そんな光景だった・・・そしてその強大さもあまりにも異質であり、私も本気を出してあの二人を殺しにかかっても勝てるかどうか・・・」
「・・・あんたがそこまで言うようなくらいなの、あの二人・・・?」
レミリアは二人に関してどれくらい異質だったかを語り、その中身に自分もどれだけの物を感じたのかと警戒心を滲ませながら紫は言うのだが、霊夢もだが魔理沙達もまた目を丸くするように驚いた・・・紫がスペルカードルール抜きでどれだけ強いかは実際に見たことなどないが、それでも妖怪の賢者としての力をフルに振るえば勝てる相手などいたとしてもかなり限られる筈の強さを持っているのは知っているのに、あの二人に勝てる自信を見せられないという様子に。
「・・・事実、私も似たような気持ちを抱いたからこそ穏便に済ませるようにと気を使って事が済むまで待つようにと頼んだのよ。と言ってもその警戒心を見透かされた上で、もう自分達は死人であり幻想郷の在り方を変えるような事をするつもりはないと返されたわ。後は彼岸に向かうだけだからと」
「・・・あの二人に何があったのかは分からないけど、どれだけ死にたいのかしら?幽々子のとこのあの赤毛の男みたいな感じなのかもしれないけど、折角なんだし普通に生きていけばいいじゃない」
「・・・彼ら二人はルークと違ってちゃんと死んでいるわ。そしてそういった自覚があるからこそ彼らは自分達が行くべき所はあの世であると見ているのでしょう・・・と言ってもなんで体を持って生きているのと遜色のない状態なのに、そう考えたのかまでは分からないけれどね」
それで永琳の補足の言葉にどうしてなのかと霊夢は不可解そうにするが、幽々子は自分の目から見えたことに加えて結局は分からないことだと漏らす。真意を聞けてないからどうしようもないと。









.
3/18ページ
スキ