最強を願われた零と詳細なく消えた科学者

・・・そうして早苗がゼロに名残惜しそうな視線を向けてきながらも、三人は気にすることなく守矢神社を後にしていった。






「ゼロよ・・・正直に言うなら、あそこでお前が命蓮寺に残ると言うとは思っておらんかったぞ。何だかんだ言いはしつつももう一度眠りにつくか、今度は完全に自分を破壊してくれと言うのではないかと思っていたのだが・・・」
「・・・率直に言うなら、ロボに影響を受けたからです。というより見た目に性格は似ていないはずなのに、所々Xとダブる時があったのを見た上で話を聞いていく内に思ったんです・・・俺も変わっていくことが出来るのかと・・・」
「自分の可能性を考えてみた、というわけか・・・」
そうして妖怪の山を降りつつケインがゼロに意外だったというように話し掛けると、素直でありながら苦悩もあるといったように返す姿にただそれらを受け止める以外に出来ない。
「いいではありませんか、それらについてはこれから考えていけば」
「聖・・・」
「貴方の生まれや苦悩についてはこの一週間で大方聞きましたが、それらの問題が昨日今日単純な言葉一つで解決出来るようであればゼロさんもそのように悩まれてはいないでしょう。だからこそ慌てないで自分と向き合っていき、ゆっくりと結論を出せばいいと思います。その為には私達も協力しますし、あのロボという方もそういうことならとゼロさんに喜んで協力してくれるでしょう。自分に出来ることがあればと」
「っ・・・そうか・・・ありがとう聖、そう言ってくれて感謝する・・・(時折Xとロボがダブって見えたあれは、本当に俺の事を思っての物だったからなのだろうな・・・)」
そんな中で聖が優しく微笑を浮かべつつゆっくり時間をかければいいし協力もすると言ってきたことに、ゼロは礼を返しつつも心中で二人の姿がダブった理由が分かった気がした。聖同様にロボは自分の事を本当に気にかけてきてくれた上で、それがXと同じものだったからなのだと・・・


















・・・そうして一週間後、ゼロとケインは現れた紫に装置を手渡した上で命蓮寺に香霖堂へとこれからも住まわせてもらうことを伝えた。何か普通の異変と呼べないような異変があれば、自分も人を守るために力を振るうとゼロは言う形でだ。

そしてケインは香霖堂で霖之助と共に過ごしていき、ゼロもまた命蓮寺を主な活動拠点として長い時間を過ごしていく事になる・・・イレギュラーハンターとしてではなく、戦えば強いが力をみだりに振るうことのないレプリロイドとして・・・









END









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