最強を願われた零と詳細なく消えた科学者

『私もそう思いますが、そもそも紫が貴殿方の言うように科学技術の粋と言える私をここに置いておく理由は、無いなら無いでいいとする形でもしもの時に備えての事だと思います。有り体に言ってしまえば私が戦ったラヴォスのように話し合いも何もなく、スペルカードルールなど守るはずもない幻想郷にとって強大な敵にしかなり得ないような存在に対して』
「・・・保険、というわけじゃな」
ロボが話を継いでどういう事からなのかと推測を語っていき、ケインはその意図を保険ではと静かに察した声を漏らした。
『はい・・・紫とはあまり会いませんが、幻想郷の住民として不適格と思われていないこともあって放っておかれている部分も彼女の性格や考え方からあるとは見ていますが、やはりこの幻想郷の性質上紫達の都合のいいものだけを呼び寄せる訳ではないでしょうからね。ですから幻想郷は実力者の多い土地ではありますし、私に全ての解決を任せる訳ではないにしても戦力があるに越したことはないと見ています。それこそ科学技術の粋である私がいることによる弊害が起こる可能性と天秤にかけてでもと』
「・・・裏を返すならもしもの事態が起きたなら駆り出される事になるのではないかということか。こういうことが起きたから動いてくれないかと言われる形で」
『一応霊夢であったり早苗であったりと異変が起きた場合に解決をしようとする者はいますし、普段の幻想郷で起きる異変くらいなら彼女達に任せるような案件だと思います。ただそれこそラヴォスのような存在相手であったら動いてくれないかと要求される前に私も自発的に動くと思いますから、その辺りに関しては駆り出されるというようには捉えませんよ』
「っ・・・」
その声を肯定しつつ話を続けるロボだが、自分の声に対して穏やかでありながら決意は固いと語るその姿にまたもやゼロは笑顔を浮かべたXの姿がダブるように見えてしまって息を詰まらせた。
「・・・それで、ゼロにケインだっけ?二人はそう聞いてどうするの?一応八雲紫には一週間後にはどうするかは伝えるんでしょ?」
「・・・わしとしてはゼロとロボの整備に関しては担当しても問題ないと思っておる。というよりわしのこの体は戦闘用に造られたレプリロイドではないから、出来ることなどそれくらいしかないからの。故に二人の整備に関しては請け負うが、ロボは一月に一度くらいわしの元に来てくれ。霖之助には後で頼むがわしは香霖堂でこれからも暮らせるようにした上で外から来たものを拾いつつ、使えそうな物を使えるように仕立て上げていくつもりだからそれらで整備をしよう」
『ありがとうございます、ケイン博士』
そんなゼロについてを見てか見ずか諏訪子がどうするかと二人に問い掛けると、ケインが自身の考えを述べつつロボにこまめに整備をすると告げたことに感謝を込めてお辞儀をする。
「・・・正直に言うなら、まだ俺はどうすればいいかを決めきれてはいない。だがもしもの何かがあったなら俺も戦うことを選ぶだろう上で、この迷いを振り払いたいという気持ちもある・・・だから済まないが聖、俺を命蓮寺にこれからも置いてくれないか?掃除も雑務も俺にやれることなら何でもしよう」
「えぇ、歓迎しますよゼロさん。貴方の真面目な姿勢はぬえや一輪達のいい手本になるでしょうからね」
「えぇ~・・・私としてはゼロにもうちに来てもらってもよかったんですけど~・・・」
そしてゼロは悩みはしながらも命蓮寺にいたいという気持ちを口に出し、聖は笑顔で了承を返すが反対に早苗は不満タラタラな様子で口を尖らせていた。二人目のロボットがうちに来ないという事実を前にして。









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