最強を願われた零と詳細なく消えた科学者

「・・・というよりそもそも何故貴方は攻撃を返さなかったのかしら?そこまでされたなら攻撃し返してもいいと思ったけれど・・・」
「バスターやビームサーベルを始めとして俺の攻撃手段は弾幕ごっこ用に調整出来るような代物ではないし、何よりイレギュラーハンターとしての心構えからだ。イレギュラーハンターはあくまでイレギュラーになったレプリロイド達への対処が主であって、そうでない者及び人間を無意味に傷付けることをしてしまえばイレギュラーと認定される。だから俺は攻撃をしなかった、ということだ」
「そういった認識から、ですか・・・」
そんな紫は続けて攻撃を返さなかった訳を聞くと、ゼロの攻撃の強さ及びイレギュラーハンターとしての考え方から来るものと返って来た事に少し考え込むような素振りを浮かべる。
「・・・八雲紫、もしや貴方はゼロさんを殺そうと算段しているのですか?」
「・・・いえ、彼がこのままでいるなら私も問題はないと見てはいます。ですが彼は自分の事を絶対に大丈夫だと信じれず、その事がずっと枷になるままに生きていくだろうことも想像がつきます。ですので折衷案を提案しようかと思っていた所です」
「折衷案?」
すぐに聖が視線を鋭くしてその心中についてを問い質すが、ゼロの気持ちを考えた上での折衷案との単語に首を傾げる。
「誤解しないでいただきたいのはゼロからしてこうした方が気が楽になるのではないかという事から提案するのですが・・・それはもし彼が暴走するといった場合に備えて、緊急停止の為の物とそれでも止まらなかった場合に備えての爆弾を埋め込み、それらを発動させる二つの装置をそちらのケイン博士に作っていただいた上で私に預けるというものです」
「っ、それは・・・!」
「成程・・・確かにそういった保険があってくれた方がこちらとしても気が楽になるな」
「ゼロ・・・」
紫は前置きを置いた上でいかな案があるのか・・・それらを聞いた聖はたまらず不快そうな表情を浮かべたが、ゼロがむしろ納得だといった笑みを浮かべる様子に何故といった顔を向ける。
「悪いが聖、俺は俺自身を信じることが出来るような自信を持つことは出来ん。そして紫もそんな俺の事を見透かしたからこそそのように切り出したのだろうが・・・ただそれで分からないこととして、何故そんな案をお前が出したのかだ。お前からしたなら俺は驚異になるような相手ではなくとも、他の幻想郷の住民にとっては俺が驚異になり得ることもないとは言えんだろう上で、その可能性を見逃すような人物ではないのは分かるぞ」
「そこまで私を買っていただけることは素直に受け取らせていただきますが、この幻想郷においては問題を抱えた実力者など数多おりますし何度も異変の原因に関わったとしても、お咎めはあっても殺される事までは滅多にありません・・・幻想郷にとって決して無視出来ない甚大な被害をもたらさなければ、ですが」
「つまりは俺がそういった被害をもたらすようなことがないなら、放っておくというのが幻想郷の賢者としての総意ということか」
「えぇ。それに貴方自らが私の折衷案に納得されたのなら、こちらとしては貴方を今すぐどうこうするべきという材料はないと見てそう言わせていただきました」
ゼロは自嘲的な笑みを浮かべつつ話を進める中で紫に随分寛大ではというように話し掛けると、危険性があると見ただけではそうはしない上でゼロの考えを聞いたからだと微笑を浮かべつつ返す。一応今すぐどうこうする必要はないと見たと。









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