最強を願われた零と詳細なく消えた科学者

「・・・成程、話はよく分かりました。おそらく貴殿方はロボの言ったよう、平行世界の地球から来たのでしょう。そうでなければ機械技術関連で結界の外は貴殿方の時代に追い付けない程度にかなり遅れていますからね」
「・・・話には聞いておったが、やはりそういうことか・・・」
・・・そうして命蓮寺の客間の中、テーブルを挟んで紫と正座しながら向かい合うゼロにケインに聖の三人。
そこで紫が口にしたのは平行世界から来た可能性が高いとの答えに、ケインは予想出来ていたがと難しい表情を浮かべる。
「ただそう聞いたからこそ貴殿方はどうするのかと悩まれているのでしょう。これからの身の振り方をどうすればいいかもそうだけれど、特にそちらの赤い貴方・・・貴方の事情についてを聞いたからこそ言えることとして、自分が安穏として存在していていいのかと」
「・・・その通りだ。俺は戦うために造られた存在であるというのもそうだが、ケイン博士のおかげでそうならないという太鼓判をもらえはした・・・だがそれでも俺は恐ろしくなるんだ。また今の俺にではなく元々の俺に戻り、全てを破壊しようと動こうとするのではないかというのが・・・」
「ゼロ・・・」
その言葉に追従するよう紫がゼロに向けて悩んでいるだろう事を口にすると、自分の中でどうしても莫大な不安が残ると隠さず自身の手を見ながら口にする様子にケインも複雑そうな顔を向ける。
「・・・でしたらここで学んでいけばいいんです。戦わずに済むような生き方と、そんなことにならないようにと心を保つ術を」
「聖・・・」
そんな時に優しげな微笑で胸元に手を置きながら話しかけたのは聖で、その言葉にゼロ達の視線が集まった。
「貴方の事については聞きましたが、絶対に貴方を造った方の思う通りにだったり戦いに身を投じて生きねばならないという理由はどこにもないと思います。むしろ暴走という懸念は分かりますが、その事に囚われるあまり貴方自身の可能性を自分で閉ざしていると思ったんです・・・未来を体験していく可能性を」
「・・・だが、それで俺が暴走すれば・・・」
「ですからこそそうならない術を身に付けていくのですよ。それにもしもの際には私達も貴方を止めて見せます・・・貴方の強さの片鱗はこの一週間程で感じていますから、相当に骨が折れることは覚悟の上です」
「少し待って・・・聖白蓮、貴女はどこでそんな片鱗を感じたのでしょうか?」
続けて聖が学んでいくように勧めると共に難しくても自分達が暴走したなら止めることを口にすると、紫が話の中身に目を細めて突っ込んだ質問を向ける。ゼロはそんなに強いのかと。
「彼は基本的にこの一週間は座禅をして過ごしていましたが、ぬえ達はそんな彼に度々イタズラのようなこともそうですが空いた時間に弾幕を仕掛けていったりしたそうです。あの子達いわく本当にそんな力があるのか確かめようみたいな軽い気持ちでと・・・ですがそうしている時の姿を私もあの子達を注意する前に見たんですが、彼はバスターという弾幕を撃つことも剣を抜いて攻撃で返すこともなく避けていったんですよ」
「大したことのように言わないでくれ、聖。あれはぬえ達からすれば俺を試す程度のごっこ遊びにもならない手加減された弾幕だったのは、お前達が見本だと見せてくれた弾幕ごっこで確認している。ぬえ達がその気なら到底避けることも叶わないような高密度の弾幕を放てたのはな」
「あれは地上で動く上で建物に当たらないように気を使ったと言っても、ぬえ達からしたならそれなりに本気だったというより本気になっていったと言っていましたよ。ただその本気になる中で命蓮寺の一部を破壊したので、すぐさま止めはしましたけどね」
「・・・つまり限定的な状況とは言え、命蓮寺の子達の弾幕を余裕で切り抜けるくらいには彼は強いということですか・・・」
聖はその視線にいかにゼロが強いのかの一例を挙げていき、当人が首を横に振る中で紫はその中身を神妙に受け止めていた・・・命蓮寺の面々の実力は決して他の勢力と比べても見劣りするような物ではないが、それらを武器を使わず捌けるゼロの実力の高さについてを感じて。










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