意識の境界に認識のすり合わせ

「ではいきます、少し目を閉じてください・・・!」
「「「・・・っ!」」」
それでジェイドがやると小声で真剣に切り出し譜術の詠唱を始めだしたことに、三人は一斉に目を閉じる。
「・・・エナジーブラスト!」
‘ドンッ!’
「ぐぁっ!?目が、目がぁっ・・・!?」
「今です、お二人とも!」
「はい!」
そしてジェイドがエナジーブラストを放つのだが、ラルゴを中心とした神託の盾の中で爆発と共に普通のエナジーブラストと違い強い光が放たれたことに一斉に目を押さえて苦しみだし、合図だと声をかけると二人は全速力でその神託の盾の中を走り抜けていく。
「・・・エナジーブラストってあんな使い方だったか?」
「ちょっとしたアレンジですよ。と言ってもあんな風な使い方でスキを作るなんて何回も出来ませんから、今回限りだと思ってください」
「あぁ、分かった」
それでイオン達が無事に出口の方に消えていった姿を見届けてルークはどういうことかと聞くが、当然とばかりに返ってきた答えに特に突っ込むことなく頷く。ジェイドなら出来ると思ったのもあるが、目の前のラルゴ達が回復しだした姿を見た為に。
「・・・くっ、目潰しとは小癪な・・・だがもうそのような手は食わんぞ・・・!」
「・・・あまり時間をかけてもいられません。手早くいきましょう」
「あぁ・・・!」
そしてラルゴが回復したと同時に大鎌を構えながら敵意を向けてきたことに、ジェイドもルークも戦闘体勢に入る。
「魔神拳!」
「「「「うわぁっ!」」」」
そのまま先制とばかりに魔神拳を放つルークだが、昔と違い威力と範囲の広がったその一撃は当たった神託の盾もだがぶつかった時に出た余波で周りの神託の盾も一気に吹っ飛んだ。
「何っ!?・・・くっ、ならば・・・!」
周りの兵が一撃で倒されてしまったことにラルゴは驚愕し、瞬時にポケットに手を入れ封印術を取り出しルークの方へと投げつける。
「「はっ!」」
‘グシャッ!ザッ!’
「なっ・・・!?」
「・・・助けはいらなかったようですね」
「いや、ありがとよ。あれが何か分かんなかったけど、あんまり食らいたいって思えるもんじゃなかったからな」
「くっ・・・!」
だがその封印術にルークは剣、ジェイドは槍を投げつけ綺麗に二つ並んで突き刺さってそのまま効果を発揮することなく壁に刺さってしまう。その光景にルークとジェイドは微笑みあいながら会話をするが、対照的にラルゴの表情は驚愕した後に苦々しい物へと変わった。
「・・・さて、あまり長々と話をしてもいられません。早くこの場を切り抜けましょう」
「あぁ、そうだな」
「っ、武器もないのに、舐めるな・・・!」
だがそれでそのまま自分までもをあっさり倒さんと気楽そうに会話をする二人に、ラルゴは苛立ちながら武器がないことを指摘しながら突っ込んでいく。
「生憎ですが・・・」
「武器が一つしかないなんて、誰が言った?」
「っ!?」
そんなラルゴに対し、二人が新たな槍と剣を取り出すと驚きに一瞬静止してしまい・・・
「スキありだ・・・!」
「し・・・!」



‘ザンッ’



「がっ・・・!?」
・・・そのスキにルークはラルゴの懐に飛び込み、剣を振り抜いて腹を一文字に切り払った。そしてその一撃により、ラルゴは苦悶の声と共に地面に前のめりに倒れこんだ。
「恨まないでください、などとは言いません。ですがこちらも貴殿方を放っておく事は出来ないのでね・・・それでは、さようなら」
「っ・・・!」



‘ズブッ’



・・・そして続けざまにジェイドは槍を手にラルゴの前に立ち、何か言いたげな強い視線を受けながらも・・・槍で心臓に当たる部分を背中から突き刺した。確実なとどめを刺す為、そして動かなくなる姿を見届けた。苦悶の表情を浮かべた顔が下に倒れこむのを確認して。









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