最強を願われた零と詳細なく消えた科学者

『だがもうそれも終わりだ・・・今ここでお前には機能を停止してもらい、可哀想だがゼロにはもうこのまま死んでもらうしかない』
「何っ・・・!?」
しかし続いたライトの二人ともの活動停止との言葉に、ワイリーは驚愕の声を漏らすしかなかった。
『・・・何故ゼロまでと言いたいのだろうが、私もそうだがケイン博士も謎の多いゼロの体の修復をどうにかすることなど出来んからだ。だがかといってそれでゼロが治るまでお前を生かすということも出来ることではない・・・またあのゼロに戻られたなら誰が止められるのかという話になる上、地球はあのコロニーの落下で壊滅的なダメージを受けすぎていて人間もレプリロイドも少なくなりすぎている・・・これ以上の何かが起きれば本当に地球はレプリロイドすら存在しない、死の星になる以外にない。そうなるくらいならもうお前共々ゼロにはこのまま死んでもらうしかないとケイン博士とも話し合ったのだ』
「何だと・・・!?」
「ワイリー博士・・・貴方の執念がいかに凄まじいかはライト博士から聞き及んでいます。ですがその想いを成就させるようにこれ以上貴方に活動を続けられ、反抗する者に人々を殺されるような事になって貴方や貴方の手により産み出された者達しかいない世界になるくらいなら・・・ゼロの事はやむなしと見るしかないと考えたということです」
「っ!!」
そんな様子にライトとケインは共にゼロを生かすことが自分達には出来ないからこそ、ワイリーを殺すしかない・・・そういった結論が出たと話し、ワイリーはたまらず苦い表情を浮かべた。大を取って小を捨てるだけでなく、その後の自身の危険性までもを踏まえて選択したことなのだと理解し。
『そういうわけだ、ワイリー・・・あまり長々と話をしている暇もない。ケイン博士、頼む』
「分かりました」


‘バチィッ!’
「ぐおぉぉぉっ!?」



・・・そしてそのままライトの声に反応したケインが手元にコントローラーを持ちその中のボタンを一つ押すと、フィールドに張られた電気が一斉にワイリーの体に集まりたまらず苦痛の叫びを上げた。その身に振りかける痛みがどれだけの物か想像を避けたくなるような叫びを。
「・・・すまぬな、ゼロ。わしの力が足りぬばかりに」
『だがもうどうしようもないことなのだ・・・』
そうしてワイリーが苦悶の声を上げていく中でケインとライトの二人はゼロを見ながら静かに申し訳無いと謝罪していく・・・二人にとってゼロはXの頼りがいのある相棒であり、その性格を好ましく思っていたために。
「ぐぁぁっ・・・な、ならば・・・わしが倒れた、後の、この体に残った、データを使え・・・!」
『何・・・どういうことだ、ワイリー・・・!?』
「最早、わしは、このまま、消える、だけ、だろう・・・だが、それならせめて、ゼロだけは、残し、たい・・・貴様に勝ったと、言わせた、わしの、最高傑作、だけは・・・どのような、形であろうと・・・!」
『ワイリー・・・』
・・・だがそこに来て痛みに苦しみながらもワイリーが口にしてきたまさかの言葉に、ライトは哀れむような目を向けた。決してワイリーの性格上情が湧いたからと言うわけではないにしても、ゼロという存在をそこまでしてでも生かしたいという気持ちを感じ取ったが為に。
「頼むぞ・・・ぐあぁぁぁっ・・・!!」
『・・・終わった、か・・・』
「はい・・・これでもう二度とワイリー博士は起き上がれないでしょう・・・」
そして最後とばかりの一言と叫び声を上げるとワイリーは膝から崩れ落ちて地面に倒れこみ、二人は終わりだと確信の声を漏らした。もうワイリーはいなくなったのだと。









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