弾かれた者、時間の流れから消えた者

「・・・んっ・・・取り敢えず私達を信用していただける事には礼を言いますが、それなら貴方もここに住みませんか?貴方ならここに住んでもらっても構いませんし、どう言った結果になるかはともかくとしてジャキの事を近くで見守ることも出来ますよ?」
『それはありがたい申し出ですが、私は守矢神社で暮らしていきます。この幻想郷の守矢神社で私は目覚めた上で、早苗もですが神奈子さんに諏訪子さんも私にここにいていいと言ってくれました・・・ですので私は守矢神社で早苗達に恩を返しながら暮らしていき、度々訪れる程度に抑えていこうかと思います。有り得るかどうかは別にしても私が常に近くにいて、記憶が戻るような事があるのはあまり望ましくないでしょうからね』
「・・・そういうことなら仕方無いですね。ジャキも貴方の姿に懐かしさを覚えていたようで記憶が戻らないとも限らないでしょうから、無理強いはしません」
ただすぐにさとりは咳払いをしてから表情を改めてここに住むかと問い掛けるが、義理もそうだが念のためにというように添えて断るロボに納得して頷き返す。
「・・・取り敢えず戻りましょうか。少し話が長くなりましたから皆待っているでしょうし、ジャキと実際に話をしてみましょう」
『はい、分かりました』
そしてそれで真面目な話は終わりというよう微笑を浮かべて行こうと誘うさとりに、ロボも頷き返して部屋を二人で後にしていった。


















・・・それでしばしの時間をさとり達やジャキと共に過ごしたロボだが、その時間はとても穏やかな物であり新鮮な物であった。意識を取り戻すまではラヴォスを倒す為の旅に従事していて、砂漠を緑化するために動き続ける時以外でゆっくりした時など時の最果てという場所で自分の出番が来るのを待つくらいの時で、その時もいつ自分の出番が来るかと自らも呼ばれるのを待ちわびる形で待機していた為にゆっくり談笑などというような事などほとんど無かったと、今更ながらにロボは感じていた。

しかしさとり達との茶会はいい意味も悪い意味も含めてのギラギラした気持ちとは違う穏やかな時間であり、そこにいたジャキが含みも何もない穏やかな笑みを浮かべていたことがロボの目に改めて異質な物と映ると共に・・・これでいいというような気持ちを抱かせる物となった。

ただそうしていく内に時間が経っていった事からロボは地上に帰ると地霊殿を後にしていった。またしばらくしたならここに来るということを約束して。






「・・・そうか。そんな風になったのかい」
『はい・・・ですのでこれからもよろしくお願いします、皆さん』
「勿論です!ロボはこれからも守矢神社の一員ですよ!」
・・・そうして守矢神社に戻り居間で一連の流れを説明し終わったロボの言葉に神奈子が納得し、早苗は胸を張りながら笑顔で大丈夫だと返す。
「・・・それは私もいいんだけど、よく地底に行って無事に戻ってこれたね。ロボの見た目もあって絡まれずに済むなんて思えなかったんだけどさ・・・」
「あっ、そう言えば確かにそうですね・・・」
しかしそこで諏訪子が首を捻りながら不思議だと口にした言葉に、早苗もハッとしたような顔になる。今こうしてロボが何事もなく帰ってこれたことが今更だが不思議だと。









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