弾かれた者、時間の流れから消えた者

「・・・そんな事があったと・・・」
『はい・・・紫さんの話ではサラさんは夢喰いとしてジャキさんをあぁしたサラさんではない可能性が高いとの事ですし、仮にそうだったとしてもこの幻想郷の事を考えれば星の修正力に巻き込まれる可能性が高くて私や紫さんにさとりさんと、幻想郷に関わる全ての者達が酷い目に合うだろうとの事です・・・なのでサラさんに関して思うところがあっても、彼女にも事情があったのだと思って割り切るべきだと思いますが、さとりさんはどう考えていますか?』
「・・・私がどう考えてるか、ですか・・・」
・・・そうしてロボからの説明が終わった上でどう考えているかを問い掛けると、さとりはそっと目を閉じながら考え込む。
「・・・この地霊殿にジャキが来て、八雲紫達に来てもらった上で貴方が来ていることも分かった上で、貴方達の歩みについてを知りました・・・それで貴方達が帰った後から今日に至るまでジャキと過ごしてきましたが、あの子は貴方達と敵対している時や共に戦っている時とは違って本当に穏やかでいて静かではありますが、笑うようになりました」
『えぇ・・・先程の様子を見ただけでも以前の魔王さんだった時とは違うと思いました。笑う事はほとんどなくて笑ったとしても皮肉げな物が多く、とてもあんな穏やかな物ではありませんでしたからね』
それでさとりが目を開けて意を決して話をしていく中身に、ロボも思い出すようにしながら言葉を漏らしていく・・・魔王は一応ロボ達の仲間入りこそはしたが今まで歩んだ人生の経緯に敵であったという経緯もあるだけに、言葉にしたよう含んだ笑みはあっても忌憚のない笑いを浮かべたことなど一度も見たことはないと。
「・・・今となってはという話になりますが、ジャキは元々は優しい子どもだったのは私も前の浄波瑠の鏡でその歩みを見ていったことから感じていました。そしてサラもそうですが、女王もあそこまでラヴォスに傾倒して周りやジャキ達を見ないなんて事はなかったでしょう・・・そういったことを考えていけば、そもそもの原因はやはりラヴォス以外にないと言わざるを得なかったと思います。そうでなければ女王の心は付け入る隙があったという八雲紫の言葉通りだったとしても、あそこまで狂うことは無かったでしょう。そしてジャキもまたそんな女王の姿を見て、子どもながらに不審を抱くことも荒むこともなく・・・サラもラヴォスにより長い時間を苦しむこともなく、優しい姉としてジャキを愛して成長を見守っていたと思います。そして持ち前の力を隠すこともなくジールの為にと真っ直ぐな子に育つ・・・かどうかと言うとあのダルトンという人がいたから微妙ですが、それでも私はそうなっていたんじゃないかと思います」
『・・・確かにダルトンさんに関しては懸念事項にはなっていたでしょうが、ラヴォスの事が無かったならジールが空に浮いたまま発展していた可能性はあったでしょうね・・・ラヴォスに取りつかれたようになった女王を警戒して、サラさんはジャキさんが力がないようにと振る舞わせていたとのことですから、ラヴォスの事が無ければそういうことも・・・』
その反応にさとりがジャキを優しい子と評した上でラヴォスがいなければと仮定して話をしていき、ダルトンという名に微妙そうにしつつもロボも同意する。ジャキがジールの次代を真っ直ぐな気持ちを持ちながら担っていた可能性を。









.
18/23ページ
スキ