意識の境界に認識のすり合わせ

「ですからこそ、アッシュと話が出来るかどうかが重要になります・・・恐らく彼の中にあるこちらのアッシュの記憶ではまず間違いなくガイとの仲は良くないとは見ていますが、それを確認した上で彼がどう答えるのかを知る必要があります。そう言った意味では彼の答えが重要になります」
「・・・あんまりいい答えが聞けなさそうなのは予想がつくんだけどな・・・屋敷でのガイの態度は少なからず聞いたから、まずアッシュが大丈夫だって判断するとは思えないし・・・」
「それでも私達だけで全て決めるよりはマシです。それにアッシュの気持ちもありますからね」
「あ~、確かにそうだな・・・」
それでアッシュと話をすることが大事と語るジェイドに、ルークもまた納得する。
「ですので一先ず明日は事が起きたならイオン様達と離れたのを見届けた後にアッシュを見付け、内緒で話が出来る時間を設ける事を考えましょう。今のアッシュなら他の神託の盾を誤魔化してくれるでしょうから、ある程度時間は取ってくれるでしょうし脱出にも手を貸してくれるでしょう。その上でティアを伴い、以前のようにイオン様と合流して脱出しましょう」
「まぁそれでいいだろうけど・・・ラルゴ達に関してはもう倒せる内に倒しておくべき、なのかな・・・後々の展開もそうだけど、こっちのラルゴ達って説得とか本当に無理っぽそうだし・・・」
「・・・言葉を飾っても仕方無いのでハッキリ言わせてもらいますが、少なくともラルゴにリグレットの二人は倒せる内に倒しておきたい所ではあります。こちらのアリエッタにディストにシンクも謡将に完全に忠誠を誓っているとは言えませんが、ラルゴとリグレットの二人は経緯と謡将の行動からまず説得に応じてくれるとは思えません。貴方にとっては酷でしょうが、不安要素を除くためにも確実に倒せる時に倒した方がいいでしょう」
「やっぱりそうか・・・それにナタリアの事を考えると、ラルゴの事を知ることがいいことだって決まったわけでもないし・・・」
それで一先ず話終わったというようにジェイドが言った所にルークがラルゴ達を倒す・・・いや、殺す事を切り出してきたことにジェイドが少なくとも二人はそうするべきと返したことにやはりと表情を重くする。
「辛いのであれば私が手を下しますが・・・」
「いや、やるよ・・・前もそうして戦ってきたのに、今回は辛いから嫌だなんて言ってられないしな」
「・・・分かりました。ではそのように私も動きましょう」
ジェイドはその表情に気を使うように声をかけるが、瞬時に気持ちを固めたルークの返答にすぐに言葉を撤回する。決意を固めたからこそ、ルークの気持ちをこれ以上かき回すような事を言っても意味はないと。
「・・・では今日はこれまでにしましょう。明日は色々と神経を張って動かねばなりませんから、私も貴方も体調を万全にした方がいいでしょうからね」
「あぁ・・・お前もやらなきゃならない事があるって言ってもちゃんと休めよ、ジェイド」
「分かっていますよ。では私は失礼します」
そして今度こそ話は一先ずは終わりだと休息を告げるジェイドにルークは気遣うように声をかけ、微笑を浮かべながらジェイドは部屋を後にして行く。気負いも何もなく、普通の足取りと言った様子で。









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