弾かれた者、時間の流れから消えた者

「・・・恐らくなどといった不確かな言葉など使う必要もなく、女王は自分は騙されているだとか利用されているだけという気持ちなど一切持っていなかったでしょう。あれだけの力を与えられ、悠久の時を生きる為の体を与えたラヴォスを心底から崇める形で・・・けれどあくまでそれはラヴォスからすれば都合のいい存在というだけであって、彼女より優れた手駒が手に入るか今言ったような手早く細胞を取り入れる為の能力が手に入れば彼女は一切惜しまれる事もなく、ラヴォスに殺されていたでしょうね」
「・・・ラヴォスは自分以外を餌としか見ていないから、使い続ける理由がなければそうしていたのは確かでしょうね・・・」
「はい・・・ただそこでラヴォスが恐ろしいと言える所としては言語自体は話すことはなくとも、それを理解した上で心の隙間に入り込むという繊細かつ悪辣な手段を取れる知能も持ち合わせているということです。そしてそんな存在だからこそ幻想郷の誰かの心の隙間に確実に入っていき、女王のように誰に何を言われても自分は騙されていないし自分の意志をちゃんと持ってラヴォスに仕えていると思わされ、動かされていくだけになるのは目に見えてます・・・ですからこそ先の話もあって、ラヴォスを引き込むメリットなど一切ないと私は見たのです。何かが犠牲になったとしてもプラスになるような未来など、到底有り得る筈がないと」
「そういうことですか・・・分かりました。貴女でもラヴォスを使役する事は出来ないと見た上で、最大限に警戒する相手だと見たからこそ嘘をついていないということは」
そうして女王についてを引き合いに出しながら、いかに誰かがラヴォスの駒に選ばれかねないか・・・それらを紫から聞いて映姫も理解を示した。ラヴォスは紫からしてもそれだけ厄介以外の何物にもなり得ない存在なのだと。
「ですので私がラヴォスや夢喰いを引き込むような可能性に関しては有り得ないと見てください。そしてその上で夢喰いに関してを探して参りますが、すぐにというわけにはいきませんのでしばらくゆっくりと幻想郷を知る形で過ごして待っていてちょうだいね」
『分かりました。報告をお待ちしています』
紫は映姫に大丈夫だと告げた後にロボにしばらくの時間が必要と告げ、頷き返す姿にそっと微笑みを浮かべた。


















・・・それでそこで話は一段落となり、紫とルークは白玉楼へとスキマで向かって映姫達は神奈子と諏訪子の二人にロボや魔王との事を話した上で、説教だったり注意の話をしていった。特にロボに関しては下手に守矢神社の一員として企みに参加させないようにといった話をだ。これは空も飛べない上に弾幕を撃てないが、近距離戦なら幻想郷でも上位の力を持つ存在を相手に出来るだろうロボを参加させたら、スペルカードルールの破綻を招きかねないということを危惧しての物であると映姫は説明した。

それらの話に前の地底で起きた異変のそもそもの原因となった神奈子と諏訪子は頷かざるを得なかった・・・ある程度の異変くらいなら大目に見られることが多い幻想郷ではあるが、スペルカードルールの破綻をさせてしまったとなれば、霊夢に紫を始めとして幻想郷の有力者達が因果応報だとばかりにスペルカードルールでの戦いではなく、本当の戦闘だと攻撃してきてどうにもならなくなる可能性も無いとは言えなかった為に。

そしてその上で早苗の舵取りはちゃんとするようにと言われた二人は、地霊殿での話を聞いたのもあって力なく頷くしかなかった・・・確かにロボが来た時には異常にはしゃいではいたが話くらいはちゃんと聞いていると思っていたが、実際はほとんど聞いていなかったというポンコツぶりを考えれば否定は返せないと。


















・・・それで映姫達も帰ってからしばらくしてロボは守矢神社で過ごしていっていくらかのトラブルというかイベントが起こっていく中、紫が唐突にロボ達の前にスキマを開いて現れて夢喰いというかサラに起こったことの顛末を話していった。セルジュという少年にキッドという少女を始めとした話についても含めて・・・









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