弾かれた者、時間の流れから消えた者

「その辺りは気にせず話をさせていただきますが、その外来人の心が読めないというのは確かなのですか?」
「正確に言わせてもらうなら心が相当な事が起きて、引き千切れてしまっているといったような物です。そしてそのせいでなのだと思いますが、精神的に完全に幼児化をしていて私を姉だと見ているようでして・・・」
「姉?」
「心で考えているというよりは無意識に実際にいるであろう姉にすがって、私を姉だと呼んだんだと思います。さながら目が覚めて見た女性である私の姿から、僅かに残った姉がいたという記憶から私を姉と刷り込みのような形で思い込んだのではないかと・・・」
「成程・・・貴女がそこまで言うからには本当にその外来人は記憶も自我もほとんどない幼子同然の状態であり、だからこそ私にどうにかならないかと頼ってきたということですか・・・ルークの時のよう、浄波瑠の鏡を使って調べられないかと」
「そういうことです」
そうした中で映姫が状況説明を求めてきた為にさとりが話をしていくと、言いたいことは分かったと頷く。
「それじゃ早速その外来人の元に案内しなさい。一応の念のためにって連れてこられたけど、あんまり私が必要そうな予感がしないから早く済ませて帰りたいわ」
「分かりました、霊夢さん・・・と言ってもジャキは今寝ていますし、浄波瑠の鏡についてを説明するのは難しいと思いますので起こさないように静かに行きましょう」
それで霊夢が自身の予感についても口にしつつ先にと促し、さとりが静かに行こうと理由付きで言った上でジャキの元に歩きだす。






・・・それで静かに眠るジャキの元に来た一同の中で映姫が浄波瑠の鏡を取り出し、紫が映像を見ている間は起きないようにととある術を使ってからその歩みを見ていくのだが・・・そこで出てきた光景に場にいた面々は驚きを隠せなかった。何故なら少し見ただけでも地球とも、そしてオールドラントともあまりにも違う世界にてジャキが生まれて生きてきた事が明らかになったからだ。そしてそれが分かった理由は空に浮かぶ大陸に住んでいた事もだが、魔法が発展していて明らかに地球やオールドラントよりもオーバーテクノロジーな技術が使われていたからだ。

しかしそんな驚きの中でジャキに姉がいるというさとりの予測は当たっていたというようサラという姉の存在も見ることになるのだが、二人の親であり魔法王国の女王であるジールが引き起こしたラヴォスという存在に対しての儀式で・・・経緯はともかくとしても、その儀式で出来た穴に飲まれてジャキが未来にタイムスリップをしたということに場にいた一同は誰もが誰も驚愕するしかなかった。こんなことが起きえるのかと。

しかしそうしてジャキがタイムスリップした際にジールをおかしくしたこともそうだが姉を含めて自分の全てを台無しにしたラヴォスに復讐する道を選び、魔王として活動していくジャキの姿に一同のほとんどは何とも言いがたそうな表情を浮かばせていた。その執念の為に他者を犠牲にしていき、魔王と呼ばれるに相応しい動きを見せる姿にだ。

だがそうして動いていく中でいよいよラヴォスを呼び出す為の儀式を行おうとしている時に、来訪者が訪れたのだが・・・






「・・・えっ、ロボがいる!?」
「・・・ロボ?」
・・・そんな場面を見ていた中で唐突に早苗が指を指して驚きの声を上げた事に、場の面々は浄波瑠の鏡と早苗に視線を交互させた。指を指した先にいたその名の通りのロボットがいたことに。









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