弾かれた者、時間の流れから消えた者
・・・地霊殿の主であるさとりの預かり知らぬ所でペットである霊烏路空が地上にある守矢神社にいる神の企みにより力を与えられ、さとりとしては望んでいなかった異変が起きたがそれは博麗の巫女により解決した。そしてその解決の余波という形で地上と地底の約定の改訂があり、地上と地底の行き来が出来るようになった。
その為に異変の解決の際の恒例の宴会にさとりや異変に関わった面々も参加し、それから少しして個人的に交流のあった白玉楼に小町の力を借りることなく単身で向かうこともあった。
そうした後にさとりは地霊殿に戻りしばらくの時間を地上との交流が再開されたことで忙しい時間を過ごしていたのだが、それも落ち着いた頃にある出会いがあった・・・
「・・・暇ですね・・・少し外に出ますか・・・」
・・・地霊殿の自室にて、地上とのやり取りに関して決めることを決めて行き来が落ち着いたことから自身も以前のように時間を取れるようになったさとりは暇をもて余していた。その為に机に備え付けていた椅子から立ち上がり、気晴らしに散歩に行こうとさとりは外に向かう。
「・・・あら?」
・・・そうして地霊殿の外に出たさとりだが、屋敷の部分を囲う外壁の一角に背を預けるように座っている誰かを見付けて近付く。
「・・・人間、よね?それにしてはやけに耳が尖っていて肌も青白いし、何よりこうして見ているだけでも分かるこの魔力は、とてもただの人間だなどと言えない・・・」
それでさとりは倒れている男に近付き顔を覗きこむのだが、人間なのかと疑うように眉を寄せる・・・見た目は一部を除いて人間にしか見えないさとりでも妖怪であるから人間かどうかの見分けは簡単に出来るのだが、外見だけでも人間ばなれしていることもあるがその体から感じる魔力がどう見てもただの人間の物と見れないと。
「・・・取りあえず起こしてみましょう。気絶しているようで何も考えられていないようだから、心を読むにしても意識を取り戻してもらわないと・・・」
そんな男に対してまずは色々なとっかかりを作ろうと起こすことに思い至り、さとりは肩を掴んでユサユサと体を揺する。
「・・・う・・・ん・・・」
「・・・起きましたか?」
「・・・ねえ、さん・・・?」
「え・・・っ・・・!?」
そうして少しして目を開けた男に対して優しく声をかけるさとりだったが、虚ろげに出てきた言葉に戸惑う中でハッとしたように驚きを浮かべた。
(な、何この心は・・・細かく千切られた紙のようになってて、千切られた部分はもうパズルのピースのようにくっ付けようとしても千切られた紙のようになってるから、復元不可能なくらいになってる・・・そして今こうして答えているこの人の心も消えそうなくらいにか細く、弱い・・・!)
さとりがそうなっている理由はその男の内心が普通では有り得ないような物であったことだった。そして初めて見る心でありあまりにも異質な物だからこそルークと違う意味で動揺してしまったのである。
「・・・ねえさん・・・?」
「っ、ちょっ、ちょっと待って・・・今起きたばかりでボーッとしてるように見えるから、起きてるかどうかを確かめるためにも自分の名前を言ってみて(心から名前を見付け出すのはこれでは難しいから、まずは名前を聞かないと・・・)?」
だが男が不安げに再び声を上げる様子にさとりは慌てて対処しつつも、頭を働かせて名前を聞こうと試みる。心から名前を聞き出せないというさとりにとっての異常事態をどうにかするために。
「・・・えっと・・・ジャ、キ・・・?」
「ジャキ、ね・・・うん、起きているわね(・・・自分の名前を思い出すだけでも、相当に苦労しているのが分かった・・・幻想入りで間違いないと思うけれど、これはちょっと私だけでどうにかするのは無理そうね・・・)」
それで男は名前を首を傾げながら口にするのだが、さとりは当たり障りない返しをする中で本当に困っている事を心を読んだ上で、同時に自身での解決に見切りをつける。心を読めることが解決に繋がらない稀な人物を前にして。
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その為に異変の解決の際の恒例の宴会にさとりや異変に関わった面々も参加し、それから少しして個人的に交流のあった白玉楼に小町の力を借りることなく単身で向かうこともあった。
そうした後にさとりは地霊殿に戻りしばらくの時間を地上との交流が再開されたことで忙しい時間を過ごしていたのだが、それも落ち着いた頃にある出会いがあった・・・
「・・・暇ですね・・・少し外に出ますか・・・」
・・・地霊殿の自室にて、地上とのやり取りに関して決めることを決めて行き来が落ち着いたことから自身も以前のように時間を取れるようになったさとりは暇をもて余していた。その為に机に備え付けていた椅子から立ち上がり、気晴らしに散歩に行こうとさとりは外に向かう。
「・・・あら?」
・・・そうして地霊殿の外に出たさとりだが、屋敷の部分を囲う外壁の一角に背を預けるように座っている誰かを見付けて近付く。
「・・・人間、よね?それにしてはやけに耳が尖っていて肌も青白いし、何よりこうして見ているだけでも分かるこの魔力は、とてもただの人間だなどと言えない・・・」
それでさとりは倒れている男に近付き顔を覗きこむのだが、人間なのかと疑うように眉を寄せる・・・見た目は一部を除いて人間にしか見えないさとりでも妖怪であるから人間かどうかの見分けは簡単に出来るのだが、外見だけでも人間ばなれしていることもあるがその体から感じる魔力がどう見てもただの人間の物と見れないと。
「・・・取りあえず起こしてみましょう。気絶しているようで何も考えられていないようだから、心を読むにしても意識を取り戻してもらわないと・・・」
そんな男に対してまずは色々なとっかかりを作ろうと起こすことに思い至り、さとりは肩を掴んでユサユサと体を揺する。
「・・・う・・・ん・・・」
「・・・起きましたか?」
「・・・ねえ、さん・・・?」
「え・・・っ・・・!?」
そうして少しして目を開けた男に対して優しく声をかけるさとりだったが、虚ろげに出てきた言葉に戸惑う中でハッとしたように驚きを浮かべた。
(な、何この心は・・・細かく千切られた紙のようになってて、千切られた部分はもうパズルのピースのようにくっ付けようとしても千切られた紙のようになってるから、復元不可能なくらいになってる・・・そして今こうして答えているこの人の心も消えそうなくらいにか細く、弱い・・・!)
さとりがそうなっている理由はその男の内心が普通では有り得ないような物であったことだった。そして初めて見る心でありあまりにも異質な物だからこそルークと違う意味で動揺してしまったのである。
「・・・ねえさん・・・?」
「っ、ちょっ、ちょっと待って・・・今起きたばかりでボーッとしてるように見えるから、起きてるかどうかを確かめるためにも自分の名前を言ってみて(心から名前を見付け出すのはこれでは難しいから、まずは名前を聞かないと・・・)?」
だが男が不安げに再び声を上げる様子にさとりは慌てて対処しつつも、頭を働かせて名前を聞こうと試みる。心から名前を聞き出せないというさとりにとっての異常事態をどうにかするために。
「・・・えっと・・・ジャ、キ・・・?」
「ジャキ、ね・・・うん、起きているわね(・・・自分の名前を思い出すだけでも、相当に苦労しているのが分かった・・・幻想入りで間違いないと思うけれど、これはちょっと私だけでどうにかするのは無理そうね・・・)」
それで男は名前を首を傾げながら口にするのだが、さとりは当たり障りない返しをする中で本当に困っている事を心を読んだ上で、同時に自身での解決に見切りをつける。心を読めることが解決に繋がらない稀な人物を前にして。
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