焔の危機にいかに動いていくか

「んじゃま、話はこれくらいにして久しぶりに手合わせするか?妖夢がいいならだけどさ」
「はい、お願いします!」
そんな会話はさておきとルークが手合わせはどうかと口にすると、妖夢は嬉しそうに笑顔を浮かべながら刀二本を抜いた。ルークがいない期間のほとんどを一人での鍛練に費やしていた物足りなさを解消出来るというよう。


















・・・そうしてルークと妖夢は対戦形式での訓練に時間を費やしていき、朝食の用意をしなければならない時間になるまで汗をかいていった。



「・・・精が出るわね~、二人とも。ルークはあれだけ私に「それ以上は止めろ!」」
「止めてくれてありがとう、ルーク・・・」
二人が訓練を終えて一息ついていた所に幽々子が現れるのだが、危ない言葉を口にしようとしたのをすぐに大声でルークが制止したことに妖夢がホッとしたという様子を見せる。
「それはともかくとしても、久しぶりのルークとの手合わせはどうだったかしら妖夢?」
「そうですね・・・何か前より強くなっている気がします。私も日々の鍛練は怠ってはいなかったんですが、どうも力強さが増してるように感じて・・・」
「あ~、まぁ前ほどじゃないにしても色々と戦ってきたからな。その分の経験が生きてるんだと思うよ。特にあっちの方の師匠に関してはちょっと前よりも弱かったのはあるけど、敵としては腕は十分にあったからな」
「・・・その辺りはやはり訓練ではない実戦での戦いの違いを経験した事の大きさ、ですか・・・」
幽々子は自身の言葉を止められたことなど気にせず手合わせの感想を妖夢に求めると、強くなったことを確かに感じたと共にルークの言葉からそれだけ経験の大事さに複雑そうな顔を浮かばせる。
「・・・強さを求めることは悪いとは言わないわ、妖夢。でも前に貴女が言っていたような斬れば分かるというような言葉を無闇に信じては駄目よ・・・その為だけに誰かを斬るような事をしてしまえば貴女は道を外すことになるし、そのような形で道を外したならいずれ貴女は強さの為にと親しい誰かを斬ることを選びかねなくなる・・・強い誰かと戦い斬り伏せる事が出来たなら強くなれると言うなら、情などいらないとね」
「っ・・・幽々子様・・・」
そんな様に幽々子が常日頃にない真剣な様子で言葉を向けていくと、妖夢もその言葉に衝撃を受けて辛そうに表情を歪めた・・・そうなりかねないと思われたからこその滅多にない様子で忠告されたのもそうだが、妖夢自身でも決してそんなことないと否定出来ない気持ちは少なからずあったために。
「・・・貴女が修羅の道に堕ちてまでと言えるような性格ではないのは小さい頃から見ているから分かるけれど、絶対ということはないしそれで強さを得ても後悔を抱き心に消えない傷がつくことは考えられる・・・それでもと言うなら貴女を止めることも考えないといけないけれど、貴女がその選択を絶対にしなければいけない理由はないわ。だから一先ずはゆっくり強くなりなさい、妖夢。私やルークが貴女の助けになるわ」
「うん・・・俺も訓練に付き合うし、妖夢には俺みたいに後悔して欲しくないからさ・・・」
「っ・・・ありがとうございます幽々子様、ルーク・・・間違いを起こすことのないよう、一歩一歩強くなっていこうと思います・・・」
更に幽々子がゆっくり話を進める中で笑顔で助けることを口にし、ルークが自身の苦い経験を滲ませるような言葉を口にした事に妖夢はしっかりそれらを受け止めると頭を下げた。特にルークの事を知っていて気遣いを受けたからこそ、早まった真似はしないと。









.
19/21ページ
スキ