「まぁその辺りに関しては貴女ほどではないにしても、私も感じているわ。ここに来る時にルークがいないということに関して違和感を覚えるくらいにはもう彼がいることに慣れてしまったもの」
「あら、そうなの？昔の貴女からだったら聞けそうにない言葉ね」
「昔は昔よ。確かに前の私だったなら言わないと思うけれど、この幻想郷の白玉楼においてはルークの存在はもう欠けてはならないものだと今の私は思っているわ」
そんな幽々子に対して紫もまた自分もルークがいない事が不自然だと思うと、心変わりについてを笑みを浮かべながら答える。
「・・・取り敢えずルークに関しては然程心配しなくていいわ。旅は順調に行っているから問題はないのは分かっているし、後何ヵ月か程度の辛抱よ」
「それは分かっているわ。いつになるかはまだ分からないけれど、その時が来るのを心待ちにしているわよ・・・紫」
だからこそ二人は共に笑顔を見せあった。立場であったり思いの在り方の違いはあってもルークが戻ってくるのを待とうと、同じような想いを抱く形で・・・


















・・・そうしてしばらくの時間が経ち、紫が再び白玉楼に訪れた。その用向きは二週間後にルークが帰ることになったという報せの為にだ。

その時の幽々子はそれはそれは分かりやすく笑顔を浮かべた物であった。勿論妖夢も笑顔を浮かべた物であったが、やはり想い人が戻ってくるという事を聞いた幽々子と比べれば笑顔の輝きかたの違いは明らかであった。

そうした報せを聞いた幽々子はその日が来ることを一日千秋の気持ちで待っていき、とうとうその日が来た・・・






「・・・あっ、スキマが開いた・・・！」
「っ・・・！」
・・・白玉楼の庭にて、紫の使いで先に来た藍の言葉により待機していた幽々子と妖夢。
そこで藍の横にスキマが開いた事に妖夢が気付き、幽々子も目を大きくした。
「・・・待たせたわね、二人とも。ホラ・・・」
「・・・ただいまって、うぉっ！」
そしてその中から紫が出てきてその後ろに手を出すように向けると、その中からルークが出てくるのだが幽々子が即座に飛び付いて抱き着いたことに驚きつつも受け止めた。
「会いたかったわ、ルーク・・・！」
「落ち着けよ、幽々子・・・俺は戻ってきたんだからさ・・・」
そのまま幽々子は抱き着きながら喜びを表していき、ルークは苦笑気味に背中に手を回してポンポンと優しく叩く。
「お久しぶりです、ルーク・・・と言いたいんですけど、その髪は・・・」
「あ～、これは元々の俺もそうだしあっちの方の俺も髪を伸ばしてたからな。それで元々の俺はこれから変わるって決意を固める為にって髪を切ったけど、今回はそんな機会無かったし変に髪を切ると何でだって言われかねなかったしな」
「そうなんですか・・・」
その後に妖夢が挨拶の後に髪についてを注目すると、切る機会が無かったからとの苦笑気味の返しに何とも言いがたそうな反応を浮かべる。
「あ～、やっぱり違和感あるか？ずっと短い髪のまんまで過ごしてきたからさ」
「それもあると言えばあるんですけど、綺麗で長くて羨ましいなって思うんです・・・特に髪の先が赤から金色になっている辺りが・・・」
「髪の長い人なんてそんな珍しくないだろ・・・そこにいる紫とかもそうだし、霊夢達とか普通に長い髪を持ってる奴なんていっぱいいるしさ・・・」
「それは分かってるんですけど、男の人でもこれだけ綺麗で長い髪を持ってるっていうのが少し羨ましいなって思うんですよ・・・」
「はは・・・」
その様子に違和感があるかと問うルークだが、女性として長い髪を羨ましがる妖夢の様子に乾いた笑いを浮かべるしかなかった。妖夢は肩口以上に髪を長くしないが、そう言ったように女性として長い髪を羨む面があったことを初めて知ったために。










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