意識の境界に認識のすり合わせ

「・・・さて、そうと決めたのは良しとして話を切り替えましょう。次の問題について考えるために」
「次の問題っていうと、明日の襲撃のことか・・・」
「えぇ、そうです」
そんな空気を一先ず変えると次の問題と口にしたジェイドに、ルークも明日の事だと察する。
「と言ってもイオン様はこのタルタロスの兵を撤退させる為に私達だけで無理に守ろうとすれば、二人だけで大量の敵と戦わねばならない上に封印術をかけられる危険性があります。以前のようにある程度数が少ない状況であれば二度同じような攻撃を食らう轍を踏むつもりはありませんが、敵の数が多ければその危険性は高くなります。今回ガイとティアを手放しで信頼出来ない事もありますが、戦力的な意味で私と貴方が力を落とすような事は望まれません」
「・・・だからイオンは無理に守るような事はせず、封印術を食らわないように戦うようにしなきゃならないってことか・・・」
「えぇ。イオン様は以前の通り殺されるような事はないでしょうからあまり良くないとは思いつつ放っておくことにしますが、封印術に関しては確実に回避をお願いします。いいですね?」
「分かってるよ。俺も幻想郷で鍛えた腕を落としたくはないしな」
「幻想郷で鍛えた、ですか・・・」
そこでジェイドが挙げたのはイオンと封印術の事で特に封印術を強調すると、ルークが理解したと言いつつ幻想郷で鍛えたという部分に考え込む様子を見せる。
「・・・鍛えたと今言いましたが、どれくらいの腕があると貴方は今自覚していますか?」
「前の通りの師匠の腕なら一対一でも勝てると思う。つーかちょっと腕が劣ってるかもって言われたけど、実際勝ったからな」
「・・・どういうことですか?」
「知り合いにいるんだ。心を読んだ上で過去を一時的に具現化出来るさとりっていう妖怪が。と言ってもそいつは攻撃手段として使ってた技なんだけど、何度か会ってる内に腕試しにって師匠を具現化してもらって戦ってみたんだよ・・・まぁさとりの言うことだといくら印象に残った記憶であっても、記憶は色褪せる物だから完璧には再現出来ないってことだけどそれでも一対一では倒せるようにはなったよ。さとりの言うように多少腕が落ちてるとは感じたけど、その師匠相手にはな」
それでジェイドはどれくらいかと聞くとさとりという人物と会ったことから、ヴァン本人とは言わずとも近いくらいの相手に勝てたと自信を持って腕を上げる。
「それは頼もしいですね。ただそんな能力を持つ者までいるとは・・・」
「心を読めるって事からの派生的な能力らしいんだけどな。まぁちょっと色々仲良くしてもらった上でそうしてくれたんだよ」
「そうですか・・・それだけの腕があるなら安心ですね」
「いや、こっちの師匠や六神将の腕が前と同じだなんて決まった訳じゃないんだからな?」
「それでも貴方を頼れるというのは心強いですよ。勿論貴方だけに戦わせるようなつもりはありませんし、私も以前の経験とのすり合わせからエルドラントの時とまではいかずともある程度近いレベルで譜術もあの時の全ての物を使えます。それにアッシュもアッシュで頑張ってはくれるでしょうが、ティアとガイが絶対に大丈夫と言えない上でナタリアとアニスの実力の差が顕著に現れるなら必然的に我々三人が主力にならざるを得ませんからね」
「・・・成程、そういうことか」
「えぇ、そういうことです」
その答えにジェイドも満足そうに頷いた上でこれで三人でも行けるだろうとの考えを微笑を浮かべて述べると、ルークも微笑を浮かべ返す・・・こちらのティアとガイはともかくとしても、ナタリア達に無理をさせずとも自分達三人ならやれるという風に言っていると確信を持っていると感じて。









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