焔の危機にいかに動いていくか

「・・・心配はいらないわ、妖夢。寂しいという気持ちはあるのは確かだけれど、ルークは戻ってきてくれる・・・だから我慢するわ」
「・・・大丈夫なんですね、幽々子様?」
「辛いことには変わりはないけど、それでごねてルークが消滅するよりは全然いいわ。ただルークが戻ってくるまでいつもと違うことになるかもしれないから、迷惑をかけたらゴメンね妖夢」
「いえ、私も幽々子様のお気持ちは分かりますので私も出来る限り頑張りたいと思います」
そんな様子に気付いて幽々子が笑顔で大丈夫だからというように言いながら先に謝ってくるが、妖夢はむしろやる気に満ちた表情を浮かべた。主の滅多にない弱いところを見たからこそ、自分が頑張りたいというよう。


















・・・それでルークがいない白玉楼での生活が始まり、幽々子と妖夢の二人は想像以上に違和感に満ちた時間を過ごしていった。妖夢としては剣術訓練の相手であったルークがいないことで一人で稽古をすることが多くなったことに物足りなさを感じ、幽々子は完全に想い人がいないことに物憂げであったり物足りなさげな表情を浮かべることが多くなった。

ただそんな様子を見てだろうが、紫もそうだが藍も白玉楼に訪れる頻度が増えた。やはりルークがいない二人の変化をおもんばかっての事だったのだろう。それでそうした二人の来訪に幽々子達の心が紛れたのは確かではあったが・・・



「・・・やっぱりルークがいない生活は物足りないかしら?」
「えぇ、そうね・・・妖夢が悪いと言うわけでもないし貴女が来てくれる事は嬉しいのだけれど、やはりもうルークの温もりがないと寂しいわ・・・」
・・・ルークがいなくなってしばらくしたとある日にまた紫が白玉楼に訪れ、縁側にて幽々子と並ぶ形で座っていた。そんな中で紫から向けられた問い掛けに、幽々子は胸に手を当てながら寂しいと隠さずに漏らす。
「・・・やはり出会いというのはよくも悪くも人を変えるものね・・・私が平行世界を回ってオールドラントを探していたのは前にも話したけれど、その中で平行世界の幻想郷についてもいくつか見付けたのよ」
「そうなの?」
「えぇ。でも平行世界ということもあってここの幻想郷とは違う点はいくつかあったけど、他の幻想郷にはこの幻想郷にいた誰かがいなかったり逆にいなかった誰かがいたりしたこともある中で・・・この白玉楼に幽々子に妖夢以外の目立った誰かがいないことが普通で、ルークが幻想郷自体にいないのが当然だったわ」
「・・・そうなの?」
その様子にしみじみと感じ入るように紫は平行世界の幻想郷についてに話していく中、ルークがいないということに首を傾げる。
「だから出会いが人を変えると言ったのよ・・・その平行世界での幽々子は前までの貴女とそう変わったような様子は無かったわ。それは間違いなくルークがいたかどうかによる違いでしょうね」
「そうなの・・・昔のままの私なら別にルークがいなくても問題はなかったとは思うわ。けれどルークの事を知っていって、共にいればいるほどもうルークがいない自分の事なんて想像出来ないもの・・・そういった意味では私は確かにルークと会って変わったと言えるでしょうね」
紫はだからこそ他にないルークの出会いについてが幽々子を変えたと言うと、幽々子当人もそれが正しいと頷き返す。昔の自分と違うということについてを。









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