焔の危機にいかに動いていくか

「その辺りの説明に関しては長くなるから必要な部分だけ話すけれど、時間の流れに関してはデリケートなのよ。本来あるべきであった時の流れを乱すようなことをしたなら、その流れを修正する為の修正力が働く事があるの。言うなら世界が世界の流れを乱すイレギュラーを排除する為に動くのだけれど、その修正力は一生命体程度では抗うことなど到底出来ないものよ・・・境界を弄って逃げようとしたところで、関わってしまえば私が異物として関わってしまった事実は世界相手じゃどうしても誤魔化しようがないもの」
「・・・紫様でもそうなのですか・・・」
「言ったでしょう、一生命体程度ではと。私は妖怪であって人間よりは力はあるけれど、世界そのものを凌駕出来る力を持った存在などとは到底言えないからこそ、修正力には手も足も出ない・・・だから修正力に関しては働く世界はあっても働かない世界があるのも知っているから、平行世界を探してきて働かない世界のオールドラントを見付けてきたのよ」
紫はその流れで修正力についての説明をしていき、妖夢の意外そうな声にむしろ当然と答えつつだから平行世界のオールドラントを見付けてきたのだと返す。
「・・・じゃあそのオールドラントでフォミクリー技術を用いてルークの完全同位体の体を作ると言うの?」
「そこに関しては完全同位体はあくまで偶然出来た物であって、ちゃんと造れる保証が誰にも出来ないということから、出来るまでレプリカを造り続けることはしない方がいいと見たからそうはしないわ・・・ならどうするのかと言えば、そのオールドラントのルークの体を譲ってもらうようにしてもらうつもりよ」
「えっ・・・!?」
「言いたいことは分かるわよ、ルーク。私がそう考えた理由に関しては今から話すからまずはその中身を聞いてちょうだい」
幽々子はならと率直にどうするのかと聞くが紫の答えにルークが驚愕した事に、すぐさま説明の為に話を進めていく。平行世界のオールドラントについてを・・・


















「・・・ということから、そのオールドラントを選んだのよ。いくつかの違う流れを見はしたけれど、結局としてヴァン達一味に滅ぼされるか相討ちになって預言通りになって滅びるかのどちらかの未来しか訪れないからこそ、そのオールドラントのルークの体を譲ってもらっても結末は変わらないんだしいいのではないかとね」
「「・・・」」
・・・それで紫がそのオールドラントがいかにルークのいた方のオールドラントと違うのかにそこを選んだの説明をし終わった所で、幽々子と妖夢は黙ってルークの方を見ていた。明らかに苦い表情を浮かばせている様子に。
「・・・そんな平行世界があるのかって言うのもそうだけど、そのオールドラントを見捨てて俺だけ無理矢理そこの俺の体をもらって、はいサヨナラってちょっとそれは・・・流石に・・・」
そんなルークが口にしていくのは自分だけが得を得ることと、そのオールドラントを見捨てるようなことをしたくないという、ルークらしいと言える中身である。
「・・・そうは言うけど、話を聞く限りではそこ以上にルークの体を得られるような都合のいい世界なんて無いんじゃないかしら?修正力の事を前提とするならその影響力のない平行世界を探すのも面倒でしょうし、そこ以外のオールドラントを見付けられても体を譲り受ける事を考えると救いようのない世界なのだからということを考えれば、まだ仕方無いものだと割り切れると思うわ」
「・・・それを言われるとな・・・」
そんなルークに幽々子は理屈で考えるならというように話し掛けると、そこは理解出来るとは言いつつもやはり表情を晴らすことは出来ずにいた。これは理屈だけでは考えられないと。









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