「・・・ま、そういうわけだから幽々子はまた宴会を楽しんでこいよ。そもそも俺はそんなに酒も飲めないのもあるから、すぐに潰れるだろうしさ」
「・・・分かったわ。じゃあお休み、ルーク」
「あぁ」
そうして改めて宴会に戻るように勧めるルークに、幽々子も頷き返して部屋を後にしていくのを見届ける。
「・・・幽々子・・・あんな風に接してくれるけど、いつまで俺はこうして存在出来るのかな・・・ずっと一緒にいたかった、けどな・・・」
そして一人になった部屋にて、ルークは悲し気にうつむき切実な声を漏らす。消えたくはないが、もう覚悟せざるを得ない・・・そういった気持ちに考えを抱きながら・・・






「・・・幽々子」
「・・・どうだったの、紫？」
「・・・ルークは自分が消える可能性が高いと認識しているわ。そして消えたくないと思いつつも、そうなることを覚悟している・・・自分の体はどうしようもないと認識して・・・」
「っ・・・」
・・・そうして幽々子は白玉楼の空き部屋に入ると、後ろからスキマを開いてその中から話し掛けてきた紫に答えるのだが、そこで返ってきた答えにたまらず苦痛そうな表情を浮かべた。
「・・・私もマスタースパークを第二超振動で相殺した場面は見ていたけれど、あの威力に感心する以上にルークの手が透けて見えたことに驚いたわ・・・まさかあんなことになるとは思っていなかったからね・・・」
「そしてルークはそれを隠そうとしていた・・・私もルークの様子がおかしいと思っていたけれど、まさかそんな事になってたなんて思わなかったから貴女に様子を見てもらったけど・・・ねぇ紫、貴女の見立てではルークはどれくらい存在出来るの？」
「・・・そうね・・・私もルークのような体については他に見たことはないからハッキリとした事は言えないけれど、それでも私の見立てとして言わせてもらうと超振動を使わないならを前提にするなら、数年単位では消えはしないと思うわ・・・けれど超振動を使えば使うほどにルークの体が消える時間は早まっていくでしょうね。あれは第七音素が無いということもあるけれど、確固とした肉体に魂を持ってないからこそ能力の反動をあの体が受けてしまったのだと見たわ」
「・・・超振動を使えば使うほど・・・それで使わなくても、ルークはいずれ消えてしまう可能性が高い・・・」
「・・・やはり辛いかしら？いつまでもずっと一緒にいると思っていたルークが、そんな形で消えてしまうんじゃないかというのは」
「・・・そうね、辛いわ。そして普通の人が死を恐れることやそこで生まれる別れを嫌だという気持ちも分かったわ・・・」
紫も意外だったと話を進めていく中で表情の晴れない様子の幽々子にどうかと問い掛けると、うつむきながら辛いと返していく。
「・・・私にとって死とは、身近な物だったわ。人でもそうだし妖怪もいずれ死んで、生を終える・・・そういった事を何度も何度も見てきたし、別れを惜しみ悲しんで否定したいといったような気持ちなんてなかった。いずれ同じように死ぬんだからという気持ちで何人も何人も同じような人達を見てきた事で慣れていったと思っていたし、白玉楼に連れてこられるようなことがあれば普通にいつでも会えるような存在なんだからと思ってね・・・でもルークが喪われたならもう二度と亡霊としてすら会えず、消滅するだけだと聞いて普通の人が死を恐れる理由が分かった気がするわ・・・」
「えぇ・・・私も少し思い直すきっかけになったわ。親しい者が喪われるといったことについて、このような物だったのかと・・・」
そうして幽々子が沈痛な様子で語っていく死に対する考えが変わったとの言葉に、紫も同じような気持ちだと返した。出会った頃とは全く違い、ルークを親しい存在だと認めているからこそ自身も辛いというよう・・・









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