焔の危機にいかに動いていくか

(・・・今は俺の手は透けてはいないけど、あの時は確かに透けてた・・・第二超振動を使った時は・・・)
・・・明かりのない部屋の中、自分の手を見ながらルークは深刻な気持ちを抱いていた。手が透けるという現象は記憶の中にあり、それは・・・いずれ消え去ってしまうという現象の前触れになるのだという事になるという事に。
(・・・これは俺、死ぬっていうか消えるのかな・・・そう遠くない内に・・・)
だからこそ自分の消滅が近いのではないかと、ルークは辛いという気持ちを抱かずにはいられなかった。幽々子達と共に暮らす今の生活を享受してきたが、自分はもう遠くない内に魂すら残さず二度と幽々子達と会えないまま消えてしまうのだと考え。
‘ガラッ’
「・・・ここにいたのね、ルーク」
「あっ、幽々子・・・どうしたんだ?」
「宴会に来ていないから探しに来たのだけれど、どうしてここにいるの?」
「あ~・・・男一人って辛いってのがあるからだよ・・・幽々子と妖夢の二人とは一緒に暮らしてるからいいけど、宴会にいるのって女しかいないってことだからどうしていいか分かんないしさ・・・」
「あら、気にしなくていいのに」
そんな部屋に幽々子が合図も何もなく入ってきて声をかけてきたことに、ルークは何事もなかったかのように返す。
「というか幽々子こそいいのか?場にいただけの俺と違って、幽々子は宴会の主役みたいなものだろ?」
「その事に関して魔理沙が貴方が使った力が何なのか聞きたいと言っていたのもあって、貴方を探しに来たのだけれど・・・あれ、超振動だったんでしょう?それも第二超振動の方」
「あっと・・・分かったのか?見ただけで・・・」
「一応貴方の記憶を見たのもあるけれど、紫に聞いてみたら第二超振動だろうと言われたわ・・・魔理沙のマスタースパークの火力の事を考えたら生半可な防御では貫かれるだろうけれど、理論上あらゆる攻撃を無効化出来るという第二超振動ならマスタースパークを防げてもなんら不思議ではないとね。そしてだからこそ魔理沙は貴方がいないことに不満げだったのよ・・・あれは何なのか教えてもらうってね」
「あ~・・・教えてどうにかなるような物じゃないんだよな、超振動に関しては・・・」
だがやられっぱなしではないと何故来たのかを問い返すルークだが、幽々子が返していく返答の中身に何とも言い難げな表情を浮かばせるしかなかった。確かに力自体はすごいものだと改めて感じはしているが、その力を持っている理由が理由な為にどうとも言いようがないと。
「えぇ、だから紫が魔理沙に言ったのよ。ルークのあの力はルーク自身が持っている超振動を使える程度の能力があるから出来る事だってね」
「えっ・・・程度の能力でくくっていいのか、超振動って?」
「その辺りは紫に聞いてみたけれど、第七音素が循環していないこの幻想郷じゃ超振動は使えない筈なのにそれが使えたのは程度の能力という概念になったかららしいわ。だから魔理沙にはルークの能力だから出来たことだから真似しようがないとは言っておいたわよ」
「そうしたらどんな反応だった?」
「能力によるものなら仕方無いって言うのと同時に、今度は弾幕ごっこで勝負するぞって伝えるように言われたわ。ただルークは弾幕ごっこは弾幕自体が張れないから勝負にならないって言ったら、口を尖らせてつまらないって態度を見せてたわね」
「あ~・・・その辺りは本当にどうしようもないからな、俺は・・・」
それで超振動についての話題を経た上で魔理沙についてに話は変わっていき、幽々子から聞いた言葉に苦笑気味にルークは笑うしかなかった。弾幕ごっこに関しては本当に不向き以外の何物でもなかった為に。









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