焔の危機にいかに動いていくか

・・・そうして紅霧異変が済んでしばらくして冬が来た。それでその後に春が来るのが普通なのだが、春が来る季節になっても冬の気候のままに時間は過ぎていく・・・






「・・・幽々子が妖夢に何か命令を下してから、妖夢が何かをしているのは分かってる・・・そしてそれがあって以降、冬が続いてるし妖夢に何かあったのかって聞いても何か隠してるのかが分かるような感じに誤魔化してくる・・・一体幽々子達は何をしようとしているんだ・・・?」
・・・白玉楼から雪の積もる人里に行き、買い物を終えて白玉楼に戻る道中の空にてルークは複雑そうに考えていた。幽々子に妖夢が何かしら動いているからこそ今のこの異常気象になっているのだろうと見て、自分に隠して動いているのだろうと。
「・・・ルーク」
「おっと・・・どうしたんだ、紫?」
そんな時に目の前でいきなりスキマが開いてそこから現れた紫の姿に、ルークは空中で静止しつつ用向きを問う。
「今から白玉楼に貴方を戻すわ。このままだったら少し面倒なことになりかねないからね」
「へっ・・・うわっ!?」
だが紫は説明などする間もなく扇子を向け、ルークの身を包むようにスキマを開いてその場から消し去るよう拐っていった。大きな声を上げるのも気にしないままに。






「・・・うわっ!?・・・って白玉楼か、ここ・・・本当に紫は俺をここに戻しただけなのか・・・?」
・・・それですぐにスキマから放り出されるような形で空から落とされたルークは慌てつつも地面に着地し、辺りを見渡すと白玉楼であることを確認してどういうことかと眉を寄せる。
「・・・どうしたのかしら、ルーク?もう少ししてから帰ってくると思ったのだけれど・・・」
「あっ、幽々子・・・俺もよく分かんないんだけど、紫が俺をここに戻したんだよ・・・なんかこのままだったら面倒とかなんとかって言って・・・」
「紫が?・・・ということはやはり私のやろうとしていることは把握されてて、博麗の巫女が動き出しているといった所かしら・・・」
そこに幽々子が不思議そうな顔で現れるのだが、ルークからの戸惑いつつの言葉に何かを察したというように声を漏らしていく。
「博麗の巫女って・・・ってことはやっぱり、幽々子と妖夢が何かしててこの冬が続いてたのか・・・」
「・・・察していたの、ルーク?」
「最近の妖夢がやたら出掛ける事が多くてどうしたのかって聞いても誤魔化される事ばかりで、なんか隠してるんだろうなって伝わってきたんだよ・・・まぁこれだけ冬が続いてるっていうのに、最近気付いたってのは鈍いって言われそうだけどな・・・」
「そう・・・気付かれていたなら仕方無いわね」
ルークがその言葉に反応したことに幽々子は意外そうに目を見開くが、訳を聞いたことに仕方無いと苦笑を浮かべる。
「幽々子・・・一体何をしようとしてるんだ?」
「・・・ごめんなさい。説明をしたいところだけれど紫の様子から見て、博麗の巫女が来るまで然程時間は無いと思われるわ。だから少し待っててちょうだい・・・どうなるにしても、全部が終わったら説明するから・・・ね?」
「・・・分かった、これ以上は聞かないよ」
そういった様子に何があるかを聞くルークだが、珍しくも幽々子が真剣でいて懇願するような顔と声を見せてきたことに頷き返した。それだけ幽々子にとって真剣であって滅多にない様子に、ルークも折れる形で。









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