意識の境界に認識のすり合わせ

「・・・取り敢えずそういうことで彼女にはこのまま牢に入ったままでバチカルに向かってもらいますが、もうイオン様には休憩していただいた方がいいと思っています。予想以上の彼女とのやり取りに疲れたでしょうし、今日はタルタロスはここで停泊しますから他にやることもありませんからね。ですから私達はこの部屋から出ましょう。貴方が使う部屋に案内もしたいですからね」
「あ~、そう言うことなら出るか」
「すみません、気を遣っていただいて・・・」
「気にすんなよ、俺も休みたかったんだしよ」
「では行きましょうか」
それでジェイドが話をまとめて二人で部屋を出ようと切り出し、ルークも反対する理由はないと頷きイオンの申し訳なさそうな声にいいと返しながら二人で部屋を後にしていく。






・・・そしてイオン達の部屋から出て別の部屋に入った二人は人目が無くなった瞬間、ガクッと肩を落とす。
「・・・予想はしちゃいたが、やっぱり駄目だったか・・・」
「私もある程度覚悟はしていましたが、正直イオン様にまであぁでは彼女とこれから良好な関係を結んだ上で旅をするのはとても出来るとは思えませんね・・・」
そして出てきた言葉は共に隠すこともない、ティアへの脱力感に満ちた物であった。あまりにも頑迷すぎて、自分達どころかイオン達にもどうかと思われるその姿勢への。
「・・・こうなりゃもうティアと頑張って仲良くしようとかそういうことは考えない方がいいか、やっぱり・・・むしろ今牢から出したら明日に神託の盾が襲ってきた時、それこそ真っ先に逃げ出すか降伏するって予想が当たりそうでなんないし・・・」
「有り得ない訳ではないどころかまず今の流れならそうなりそうなのは私も予想はつきますが、貴方がそう言ったことを考えるとは・・・」
「俺だって仲良くはしたいけど、流石にあの様子を見るとそんな希望的な風に物事を見れないし・・・それに可能性として師匠達を止めることまでは出来ても、ティアがいなくてパッセージリングの操作が出来なくなって詰んだって可能性も有り得るってさっき考えたんだよ」
「・・・それは確かに盲点でしたね。こちらのティアがいなくなれば、パッセージリングの操作そのものが出来なくなる・・・そう考えれば彼女に敵になられる事もですが、行方が分からないといった事態になることも避けなければなりませんか・・・」
それでルークが諦めたようにさっき考えたことを口にするとジェイドは意外だというように漏らすが、パッセージリングという単語にこれまた想定外だといったように漏らす・・・パッセージリングを操作するためにはユリア式封呪を解除する必要があるが、現在封呪を解除出来るのはヴァンとティアの二人のみしかいないがヴァンは説得も降伏も望めない以上、ティアの協力が得られないなら実質的に詰みになる・・・そうジェイドもルークの危惧を理解した為に。
「そうだ・・・だからティアと関係を築けるなら築きたいとは今も思ってるし、辛い目には合って欲しくないとも思ってる・・・けれどそれを諦めないでいて駄目になる可能性があるんなら俺はティアを敵にならないようにするため、こっちに縛り付ける為に手段を選ぶのは良くないって考えたんだ」
「・・・貴方の気持ちに考えは分かりました。そして私もそうすることに決めました。結果としてティアに恨まれることになろうとも、少なくともパッセージリングを操作し終わるまでは彼女を逃がさないようにしますよ」
「あぁ・・・頑張ろうな、ジェイド」
「えぇ、ルーク」
それでティアに対して手段を選ばないつもりでいるとの決意を見せるルークにジェイドも賛同し、二人は頷きあう。ティアにとってキツくなるだろうことを行うという事についてを決めて。









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