焔の危機にいかに動いていくか

・・・そうして紫からスペルカードルールについてを聞いたルーク達だが、その数年の後に博麗の巫女が代替わりしたこと及び後に紅霧異変と呼ばれる紅魔館の吸血鬼達が起こした異変をその巫女である霊夢達が解決したことにより、スペルカードルールで実力者達はどちらが上かを決めるという事が基本になるという事を印象付けさせた・・・一部では紫がスペルカードルールを印象付けさせるため、紅魔館側と裏で組んでいて起こしてもらった異変だという話もあるが、真実は定かではない。

そしてそんな紅霧異変が終わったということを人里での用事に行って聞いた妖夢から話題に挙げられたルークと幽々子は、その夜に白玉楼の縁側にて隣に座る形で話をしていた。






「・・・ねぇルーク。貴方は自分がアッシュのレプリカだと思っていなかった時、自分の昔の事を知りたいと渇望しなかったの?」
「自分の事を、か・・・そう思わなかった訳じゃなかった。けどそう思った所で記憶なんか戻る事なんて無かったってのもそうだし、周りが俺に前の記憶を持った『ルーク』を求めて記憶を取り戻させようとしてきたりして駄目だったことから、次第に記憶を戻したいって思わなくなっていった・・・もう記憶を取り戻すなんて無理だって思ったこともそうだし、今の俺を見ずに昔の俺だけを求める周りに反発してたんだと思う・・・今となっちゃ子どものちっぽけな抵抗だったり、せめてもの意地みたいな物だって思うけどな・・・」
「そう・・・」
・・・ゆっくり話をしていた中で唐突に幽々子から向けられた昔の事についての質問に、ルークは自分がいかに考えたのかを多少苦い気持ちを滲ませながらも話していき、その中身を幽々子は目を閉じながら受け止める。
「・・・いきなりどうしたんだ、そんな質問をして?」
「・・・貴方の事を考えている内にそういった渇望がなかったのかと思ったのだけれど、屋敷でずっと生活していたのなら貴方が求めていたのは昔の記憶じゃないかと思ったのよ」
「あぁ、そういうことか・・・でも今話したような感じだから、渇望ってことは無かったんだよな・・・」
ルークは何故そんな質問をと聞くと、幽々子から返ってきた答えに納得しつつも何とも言い難い声を漏らすしかなかった。嘘を言っていないのもあるが、ルークは幽々子に何らかの気持ちを今の質問に込めていたというのを感じた為だ。
「・・・俺の答えから何かを知りたかったのか?渇望とかって聞いたけどさ・・・」
だからルークが改まって渇望という単語についてを問い掛けると、幽々子は微笑を浮かべながら頭をルークの肩に寄せる。
「・・・今の私は幸せかそうでないかと言われたなら、間違いなく幸せよ。妖夢や紫達がいるのもそうだし、何よりも貴方が隣にいてくれる・・・昔よりも幸せだというのは理解しているし満たされているのも確かだけれど、心の内にこうしたいという渇望があるの・・・」
「・・・その渇望って、何なんだ?」
「・・・その事に関してはもう少し考えがまとまってから言うわ。今日妖夢から聞いた話で少し思うところがあったから、ね・・・」
「分かった・・・無理せず考えをまとめて言いたくなったら言ってくれよ、その時は・・・」
そうして自身の気持ちもだが同時に渇望についてもあると語る幽々子に、ルークは追求は深くせずに言葉をかけるだけに留めた。丸々と人生全てを知られたような自分と違い、幽々子は女性であるのと共に自分が知らないことを無理矢理に話させるのは良くないと見て・・・









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