焔の危機にいかに動いていくか

「・・・う~ん・・・やっぱりスペルカードルールは俺は無理だな・・・基本的な弾幕がまずほとんど撃てないし・・・」
・・・それで一通り紫からスペルカードルールの説明と共に実験を終えた三人は紫の前に立つのだが、ルークだけが微妙といった表情を浮かべる。幽々子と妖夢はスペルカードをうまく作れていたし弾幕も問題なく撃てていたが、ルークは通常の弾幕すらまともに撃てなかった事に。
「その辺りはしょうがないでしょうね。向き不向きは誰にもありますし、誰でも弾幕を撃てる訳ではないもの。とは言っても弾幕が無くても貴方の実力ならそこらの妖怪どころか、幻想郷でも結構上の妖怪とは戦えるのは妖夢との剣術訓練で私も確認しているから然程心配はしてないわ」
そんなルークに対して苦笑気味に紫がフォローを入れていくが、その中身に表情を改められずに再度口を開く。
「と言ってもあくまで妖夢が俺に合わせて地上戦でやってくれてるからなんだけどな・・・完全に空中戦になると、どうしたって妖夢に有利だし・・・」
「そうは言いますけど、私としては完全に地上戦で剣を主体にしてルークを倒したいんですよ・・・空中戦は飛べる前提で剣術を学んでないルークが不利なのは確かですが、地上戦でも私の方が剣術を嗜んでいた時間は長いんだから勝ちたいのに勝てないんですよ・・・」
「その辺りは後でにしなさい、二人とも・・・スペルカードルールに関しては大方分かったけれど、どうしていきなりこんなルールを貴女は提唱したのかしら紫?そう言い出したからには何か訳があったからこのルールについてを切り出してきたのでしょう?」
「「っ・・・」」
そこで出たのは妖夢には地上戦じゃなきゃ勝てないと愚痴る声だが、逆に妖夢は地上戦で勝ちたいと悔しそうにする・・・そんな光景を微笑ましげにたしなめながらも幽々子がスペルカードルールについてを紫に問い質す様子に、二人も確かにというようにハッと視線を紫に向ける。
「・・・現在の幻想郷を変えると共に、秩序を新たに作る為よ」
「秩序?」
「次代の博麗の巫女を育てているのは前に話したと思うけれど、そろそろその子に当代の博麗の巫女になってもらうようにするつもりでいるわ。けれどそうして考えていく内に現在の幻想郷に関して、今までのままでいいのかと思うようになったのよ・・・人間と妖怪のパワーバランスを考えた時にね」
「パワーバランス?」
「つい先日、現在の幻想郷の情勢をうち壊しかねない勢力が霧の湖付近に幻想入りしてきたわ・・・と言っても偶然という訳ではなく、幻想郷の存在を知った上で意図的に入ってきたの。そしてそのままそいつらは幻想郷を支配下に置こうと侵略を始めようとしたから、当代の巫女や何人かに助っ人を頼んだ上でその勢力・・・吸血鬼が首魁を務める紅魔館の活動を未然に防いだ上で今は大人しくしてもらっているのだけれど、初動が遅れていれば妖怪達が活性化して人里にも甚大な被害があったことは確実だったでしょうね」
「そんなことがあったのか・・・」
紫はそんな幽々子に語りかけるように紅魔館という勢力が現れたことやその危険性についてを話していき、ルークはその事実に複雑そうな声を漏らす。
「そうだけれど、今までの幻想郷だったなら殺して退治で済ませる事が妥当な処置だったわ・・・けれどそうした形の幻想入りをしてきたこともそうだけれど、紅魔館の連中がそれなりの実力があったことから以降も同じような形で実力のある者達が幻想入りをしてくる可能性は決して否定出来ない・・・そう考えた時にスペルカードルールを制定しようと決めたのよ。後々の事を考えてね」
そんな声に返しつつも紫はそんな紅魔館の事からスペルカードルールを考えたと告げた。確かなきっかけだったというよう。










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