焔に触れ亡霊の姫は変わりゆく

「・・・紫様・・・貴女の気持ちは分かりますが、幽々子様の気持ちも分かります・・・ですので私なりにルークと接していこうと思います・・・!」
そして一人になった妖夢はそっと自身の決意を新たにし、拳を握りしめる。強い意志を瞳に宿しながら・・・


















・・・そうして朝目覚めたルークがまた騒ぎ出すことになるのだが、幽々子だけでなく妖夢もまぁまぁとなだめるように言ってきたことにルークはどういうことだと言うと共に、勘弁してくれと疲れたように言った。幽々子側に妖夢が回るのは流石にちょっと、と。

ただそうして同じような事が数日続いた後、小町が白玉楼に映姫からの決定を伝えに来た。持ち帰って色々と話はしたが、死者ではないにしても生者では無いというなら白玉楼で生活してもいいだろうとなったと。

ただそこで小町がそう伝えに行くようにといった時の映姫の難しい顔についてを笑いながら語る様子に、幽々子もまた上品な笑みを浮かべながら同意したのだがルークはそんな様子に困惑するしかなかった。自分の事で映姫が悩んで決断を下した事を、二人がそんな笑顔を見せたことに。

ただそれでも白玉楼にハッキリといていいという許可が出たということから幽々子もそうだが妖夢も笑顔になり、以降もここにいていいのだと二人はルークを迎え入れた。嬉しさを滲ませながらもまだぎこちない様子を浮かべるルークを。


















・・・そうして時間は進んでいき、ルークが白玉楼の一員として見られるのには然程時間はかかることはなかった。幽々子に妖夢は勿論だが最初こそは悩ましいといった様子を見せていた映姫に、友人である幽々子を変えたルークを複雑そうに見ていた紫も考えを変えていく形でだ。

この辺りはルークの人格が人を騙せるような物ではなく、素直であったことが大きかった。現に時折来るその二人も配下であり従者である小町や藍が気に入ったような素振りを見せていたこともあって、徐々に頑なであった態度を崩していくようになった。

また、一年に一度といった程度ではあったがさとりもまた小町に連れてこられる形でルークと会っていった。これは小町からの計らいであることもそうだが、さとりとしても心を読んで覚り妖怪であっても思わず哀れんでしまう相手の事をおもんばかっての事であった。

・・・そのような形で普通に幻想入りしたなら有り得ないと言い切れるような人員達と触れ合いつつ、ルークは様々に学んだりしながら白玉楼で暮らしていった。庭師としての活動の仕方だったり、料理の腕の向上であったり、空の飛びかたであったりと他にも様々にあるが満たされるような形でだ。

・・・だがその日々はいつまでも続かなかった。幽々子の起こした異変を一つのきっかけとして、その日々は変わってしまう・・・










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