・・・そうして妖夢は幽々子の邪魔をしないというようにすると部屋を出て、自身の部屋に戻った。






「・・・戻ったのね、妖夢」
「あ・・・紫様・・・」
・・・そうして部屋に入ってみればそこに平然とした様子で紫が立っていて、妖夢は何とも言いがたそうな表情を浮かべる。
「・・・先程のやり取りに関しては見ていたわ。恐らくなどという言葉を使うまでもなく、今ルークを幽々子から引き剥がせばあの子は間違いなくその誰かに対して敵対の意志を見せるでしょう。それこそその相手を殺すまで止まることなどなく・・・」
「・・・そこまでに幽々子様がなるというんですか・・・」
「えぇ。絶対という訳ではないにしても、かなり高い確率で敵対はすることになるでしょう。ただ私としては幽々子とそうなるなんてしたくはなたいからそうはしないし、映姫様には先程のやり取りから本当に引くに引けない事情でもないならそうしないようにとは言わせてはもらうわ」
「・・・そうですか・・・」
それで紫が平然と見ていたことを口にしながらどうするかを話していく様子に、妖夢は少しホッとしたように声を漏らす。
「・・・安心したようね、妖夢。貴女もルークの事を放っておけなくなったのかしら？」
「紫様・・・それは・・・」
「構わないわ。古明地さとりもそうだしあの死神もそうだったから、古明地さとりはともかくあの死神寄りの性格の貴女がそうなることはある程度は予測は出来ていたもの・・・だからその事については責めはしないけれど、私としては幽々子があのようになったのは本当に意外だったわ・・・」
「紫様・・・そう言われるということは、ルークが幽々子様の側にいるのは気分がよろしくないのですか？」
その様子を口にした紫が続けていく複雑さを滲ませるような様子に、妖夢は口にしにくそうながらもその心中についてを問い掛ける。
「・・・貴女も知っているでしょうけれど、私は幽々子との付き合いは長いわ。そんな私からしたならあの子があんな風になることなんて想像していなかった・・・いつも同じように私を出迎えてくれて、同じように他愛もない話をして、同じように私を見送ってくれる・・・そうしてまた変わらない幽々子との交流は続くと思っていたのだけれど、ルークの事であのような姿を見てしまうとあの子はどうなるのかと思ってしまうのよ・・・もう幽々子は私と友人ではなくなるのではないかと・・・」
「・・・幽々子様は紫様との関係をルークがいるからということで変えるような方ではないと思うのですが・・・」
「確かに幽々子はそういった子であることは分かってはいるわ・・・でも私達の関係の中に関係していたのは藍に橙に貴女といったくらいで、そこにルークという異物が加わってどうなるのか・・・そう考えると、複雑で何とも言い切れない気持ちになるのよ・・・」
「・・・そう、なんですか・・・」
それで返ってきた紫にしては珍しく歯切れも悪い上に明確に断言も出来ないといった言葉達に、妖夢もその心中を受け止めるしかなかった。紫も初めての事に珍しく苦悩しているのだということに。
「・・・取り敢えずはルークについては私からは何も手出しはしないわ。様子見だけに留める上で、藍にも下手な事はしないようにとここに来る事があるようなら言い含めておくから、貴女は貴女で幽々子にルークの事を見ていきなさい。いいわね？」
「・・・分かりました、紫様」
「ではまた会いましょう」
ただすぐにいつもの紫へと様子を戻しながら話を進め、妖夢が神妙に頷いた姿を見て紫はスキマを開いてその中に入ってスキマを閉じて消えていった。









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