焔に触れ亡霊の姫は変わりゆく

「・・・その気持ちは分かるわよ、妖夢。実際にさっきこの光景を目の当たりにした時、私も驚いた物だったわ」
「ど、どういうことですか・・・!?」
「映姫様との話も済んだ後に少し用事があってそれを終わらせた後、幽々子の様子を確認しようとスキマから覗こうとしたの。そうしたらそこにあったのが今の光景だった、というわけよ・・・」
「そ、それは・・・」
それで紫がスキマを閉じつつ今の光景を先に見た時に驚きがあったと何とも言いがたそうに語る様子に、妖夢も動揺を隠せないままに声を漏らすしか出来ない。
「・・・ルークを可哀想だとか哀れみたいな気持ちを全く抱かなかったかと言われれば、そうは言えないわ。けれどあんな行動を取るまで幽々子がルークの事を想うと思っていなかったから尚更に驚くと共に、このままでいいのかとも思ったのよ・・・彼を幽々子の近くに置いていていいのかと」
「で、ですが紫様・・・今ルークを幽々子から引き離すと、それこそ古明地さとりの言ったような事になるんじゃないかと・・・」
「えぇ、分かっているわ。だからこそ貴女にこうして顔を見せに来たのよ、妖夢」
「わ、私に・・・?」
だからこそどうするべきか・・・それらを考えルークの離すべきではと考えたという紫に妖夢が口を挟むが、そこで自身の事を言われて何を言われるのかと困惑する。
「別にそう大したことを頼むわけではないわ。貴女にはここでの話を幽々子達にはしないようにと言うのと、これからの生活であの二人の事についてを怪しまれない程度に観察してほしいの。私もスキマで度々観察はしていくけれど藍も含めていつでもそう出来るわけではないから、貴女の目から見てどうなのかというようにね」
「わ、私がですか・・・」
「そうよ。だから幽々子には顔を見せずに貴女にだけ話をしに来たの。こういった事は本人に言うものでは無いし、映姫様との約束でもあるわけだから」
「わ、分かりました・・・どうなるかについてを見ていこうと思います・・・」
紫はそんな妖夢に丁寧に観察する事の必要性とお願いを言葉にしていき、それらを受けて自身に役目を与えられたことに恐縮というよう頷いた。


















・・・そうして紫は妖夢の元から退散し、妖夢も床について一晩が明けた。
『うわあぁっ!』
「えっ、ルークの声・・・!?」
そうして起床した妖夢が部屋を出て廊下を歩いていた時、唐突に歩いていた先にあったルークの部屋から声が聞こえてきた事に慌てて駆け出した。



「・・・どうしたんですか、ルーク!?」
「よ、妖夢!どういうことだよ!?起きたら幽々子が隣で寝てたからビックリしたんだけど・・・!」
「あ・・・っ!」
そして障子をピシャリと開け放つ妖夢だったが、布団から起きて立ち上がっていた驚きの顔を浮かべるルークが、未だに布団の中ですよすよと眠る幽々子の姿に指を指す姿にたまらず声を漏らした・・・ルークの布団に潜り込んでいた幽々子がその後どうしたのかを確認していなかった妖夢だが、まさかそのまま共に眠っていたとは思わず。






・・・それで仕方無いからと妖夢は自身で幽々子の体を揺すって起こし、ルークが来る前のいつものようにほんわりとした空気で「あら?どうしてここにいたのかしら~?」・・・なんて言うものだから二人も思わず毒気を抜かれ、もうしょうがないものと見て朝の支度へと入ることになった。

そして他には変わったことはなく三人は過ごしていくのだが、夜になってルークが部屋に戻っていったのを見て妖夢も部屋に戻る・・・といったように見せ掛け、幽々子の行動の監視に向かった。









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