焔に触れ亡霊の姫は変わりゆく

「・・・分かりました。一先ずはこの事に関しての結論は持ち帰ります。そして後日にどうするかを伝えに来るようにしましょう」
「ありがとうございます、映姫様」
そして映姫は仕方ないというように後日に結論を出して伝えると言い、幽々子はそのまま礼を告げる。
「・・・ではすみませんが、早くここを離れませんか?私も地霊殿に戻りたいですし、何か話があるのでしたらここを出た道中でお聞きしますので」
「・・・でしたら私も途中までご一緒しますので、彼女の能力には私も含んでくださいな。少し私もお話したいことがありますので」
「・・・分かりました。ではまたいつかはともかくとしても数日の内にはこちらに来ますので、その時にこちらの決定をお伝えしますのでよろしくお願いします」
「えぇ、分かりました」
「え・・・え・・・?」
そんなやり取りの後に早速さとりは帰りたいというよりは早く離れたいと切り出し、紫も自分も一緒にと言ったことに映姫が頷き幽々子に再度来る事を伝えるのだが、妖夢は戸惑うしかなかった。未だに幽々子に抱き付かれたままのルークに、周囲があっさりともう帰ると言い出したことに。






・・・そうしたやり取りが終わってすぐ、本当に場にはルークに幽々子に妖夢の三人だけが残ってしまった。
「ゆ、幽々子・・・もういいだろ・・・そろそろ離してくれよ・・・」
「そ、そうですよ幽々子様・・・」
「仕方無いわね~・・・」
そうしてルークがまだ抱き付いている幽々子に戸惑ったように声をかけて妖夢も同意を示すと、渋々といったように身を離す。
「・・・えいっ」
「おわっ!?・・・離してくれるんじゃなかったのかよ・・・」
「あら、離したわよ?離したからもういいだろうということでまた抱き付いたの・・・貴方はここにいていいと、示すためにね」
「っ・・・幽々子・・・」
だがすぐにまた抱き付き直してきたことにルークが驚くが、とぼけたように返した後に真剣さが滲む言葉が出てきたことに複雑そうに眉を寄せる。
「・・・紫の性格に考え方は長い付き合いだからよく分かるわ。推測とは言っていたけれど、紫は普段ならともかくこういった真剣な話をする時に不確かな言葉を口にすることはない・・・だから貴方の事は本当なんだと思うわ。『レプリカルーク』の記憶を持った別人のような者であり、死ねば魂すらも残らないような体だということは」
「・・・分かるよ、それは。でもだからって幽々子があんな風に俺を受け入れるなんて言う必要は・・・」
「私が他でもない貴方と共にいたいのよ、ルーク。貴方は自分が『レプリカルーク』ですらない存在だということが何よりも衝撃だったかもしれないし、生きているとも死んでいるとも取れない事が重荷かもしれない・・・けれどそんな貴方と共にいたいから、私はこうして貴方を抱き締めているの・・・貴方という存在の事を知ったから・・・」
「っ・・・」
「・・・幽々子・・・ありがとう、俺なんかの為にそんなことを言ってくれて・・・」
そうして幽々子はいつにもない真剣でいて、切実な想いを抱きながらルークを思っているのか・・・それらを語っていく様子に妖夢は主の見たことのない姿に息を呑み、ルークは礼を言いつつもその肩を掴んで自分から身を離して真剣な表情で顔を合わせる。悲し気でいて切なげな顔を浮かべる幽々子と。
「・・・でもまだ映姫様がどんな結論を下すかは分からないから、それまではここで世話になるけどどうしても駄目だって言われたら俺はここを出ていくことにする・・・俺としちゃ幽々子達に迷惑をかけたくないから、その時は俺の事は見送ってくれ・・・頼む・・・」
「・・・分かったわ・・・駄目だと言われたなら、ね・・・」
「ルーク・・・幽々子様・・・」
ただそれでも駄目なら離れる気持ちはあると辛そうながらも語るルークに幽々子は目を伏せながら了承し、妖夢はその光景を悲し気に見詰めるしかなかった。主の気持ちとルークの気持ち・・・どちらも妖夢は分かってしまったが為に・・・









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