焔に触れ亡霊の姫は変わりゆく

「・・・ま、待ちなよ八雲紫・・・仮にあんたの言うことが本当だとしても、それでルークが生きているのかも死んでいるのかも分からないってのはどう説明するんだい?レプリカって存在は造られた存在だって言ってもちゃんと生きているんだから、生死の概念は存在するはずだろ?」
「・・・確かにそうですね・・・」
ただそんな驚きの中で一番最初に声を上げたのは小町で、紫に向けた疑問に映姫も納得出来るというように同意する。
「そこに関しては『レプリカルーク』という概念がこの幻想郷で人の形となったからであって、生死は彼の体に作用されなかったのではないかというのが私の推測です。そしてだからこそとも言えるのですが・・・ルークがもし死ぬであったり殺されるような事になったとしたなら彼は魂になることはなく、そのままレプリカが死んだ時に体ごと消えたよう、何も残さないまま消え去るようにいなくなると思われます」
「っ!?」
「・・・だから私は酷な事を言うと申し上げたのです。その体は貴方からしたなら実体を持っているように思うかもしれませんし、疲れたり汗をかいたり心臓が鼓動を刻んでいるように思うでしょう。ですが幽々子が見たように貴方には本当に生も死もなく、『レプリカルーク』当人でもない存在なのです」
「・・・そん、な・・・」
「「「「・・・」」」」
紫は当然そこも推測は出来ているというように話をしていくのだが、端から聞くだけでも酷と言えるその中身にルークが呆然として一人を除く周りの面々がたまらないとばかりに表情を辛そうに歪めていた。確かに話に聞くだけでもあまりにもルークの辛さが分かる推測だったことに。
「・・・」
「え・・・?」



‘ギュッ’



「へっ・・・!?」
「「「「っ!?」」」」
・・・だが残りの一人であった幽々子がおもむろにルークに近付いたことに妖夢が困惑の声を上げるが、構わずルークの体を正面から抱き締め肩口に顔を乗せたことにそうされた本人もだが周りの面々全員が驚きに目を丸くした。いきなりの幽々子のなんなのか分からない理解不能な行動に。
「・・・四季様。ルークは今後もこの白玉楼で引き受けますわ」
「え・・・?」
そんな中で幽々子は優しげな声色で映姫に話し掛けるが、いきなりの行動と発言が繋がらないことに戸惑いの声を漏らす。
「死者ではないにしても生者でもないのですから、この白玉楼に置いても問題はないのではありませんか?それにルークをどうするかも決めるつもりでここに来たというのもあるのでしょうから、私が責任を持って引き受けますので心配はいりませんわ」
「それは・・・確かに彼が死者であった場合は私達が連れていき裁こうかと思っていましたが、このような事態になると私は推測していた訳ではないので・・・」
「でしたら尚のことここで引き受けますわ。それに貴女もルークの事について白黒つけるような判断をするのはすぐには難しいでしょうから、時間を空けるという意味でもどうですか?」
「・・・それは・・・」
「映姫様、ここは幽々子さんの言う通りにした方がいいのではありませんか?心の声を聞く限りでは映姫様もいきなりのことで、落ち着いて答えを出せるようには思えませんので一先ずは時間を置いた方がいいと私は感じましたが」
「・・・貴女からそう言われるとは思いませんでしたが、それだけ私も困惑していると見られたということですか・・・」
そうして幽々子は続けて優しげな声だが有無を言わさずルークを引き受ける旨を映姫に告げていき、言葉を続けようとした所でさとりが心の様子を横から口にして来たことに若干苦々しげに漏らす。今の自分が冷静ではないと言われたことに。









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