焔に触れ亡霊の姫は変わりゆく

「・・・さて、お集まりいただいた所で始めたいと思いますが・・・まず前置きを先にしておきます。私の調べの結果としてルーク、貴方にとって酷と言えるだろう推測が出ました。その事に関しては先に覚悟をお願いします」
「え・・・?」
そうして紫が視線を向けられる中で話し出すのだが、酷との言葉にルークは不安げに声を漏らす。
「ただその説明をするためにも、まずはルークがエルドラントでの戦いを終えてからのオールドラントはどんな風に時間が流れていったのかに貴方のことはどうなったのかについてをお話しましょう」
しかし紫はまずはとその後についてを話始める。ルーク達が決着を着けて以降のオールドラントの流れについてを・・・


















「・・・といったことからルーク、大爆発によって一つになったアッシュが戻ってきたこともあって、貴方の事については蒸し返しても良くないという判断から表に出されることはなくなったの」
「・・・それは、いいよ・・・俺もあのままだだったら確実に消えていたし、アッシュもあの時にはもう死んでいた・・・それが偶然なのか奇跡なのかなんてどっちでもいいし、俺の事が語られなくなってもアッシュが生きていてくれたんだって分かっただけで俺は嬉しいんだ・・・」
「「「「・・・」」」」
・・・そうして紫が一連の流れについてを説明をし終わるのだが、ルークが自分の事よりアッシュが生きていることを噛み締めて嬉しいと漏らすその様子に周りの面々は表情を程度の差はあれ歪める。
「・・・彼のその後については分かりましたが、それでは説明がつかないことがあります。大爆発により一人の人間に戻ったというなら、ルークが単体でここにいることがおかしいと思うのですが・・・」
「「「「っ・・・」」」」
ただそこで表情を引き締めこれはおかしいと映姫が口にした言葉に、確かにというよう紫以外がハッとした。一人に戻ったというならルークがここにいるのはおかしな事だと。
「・・・その辺りに関しましては先に私は推測と申し上げましたが、あくまで私の推測でしかありません。ですが色々と考えていく内に、これ以外に無いというように見ましたので一先ずは私の話を聞いてください」
「・・・分かりました。まずはその推測についてを聞かせてください」
ただ紫は自信はあるが推測であると返し、映姫も先に聞かせるようにと話を促す。
「・・・まず今言いましたよう、ルークとアッシュの二人が元の一人に戻ったのに何故ルークだけが幻想郷に入ってきたのか、そして何故浄波瑠の鏡に彼が幻想郷に来るまでの歩みが映し出されなかったのか・・・それらを考えていった時にどういうことなのかという一つの推測が出てきました。それは」



「ルークは死んで幻想郷に入ってきたのではなく、オールドラントにて歴史の影に隠れる存在にされてしまったこと・・・その存在や歩みが幻想の物となってしまったことにより、人から忘れられてしまった存在となり形となって現れた存在だということであって・・・貴方はルークの記憶や歩みがこの幻想郷で具現化した存在であって、貴方の記憶にあるルーク当人という存在ではなくあくまでもルークの記憶を持ってこの幻想郷で生まれた概念が形となった存在だということです・・・言うなればこの幻想郷という性質から作為的にではなく、天然で産まれてしまったルークの記憶を持った『レプリカルーク』といった所でしょう」



「「「「っ!?」」」」
・・・だがそこから出てきた紫の推測からの言葉に、ルーク当人も周囲の面々も揃って驚愕の表情を浮かべるしかなかった。その推測が正しいというなら、ルークはルーク当人ではないということで記憶を持っただけの別人になってしまうことになるために。









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