意識の境界に認識のすり合わせ

「・・・すみませんがイオン様、後で一度ティアに会ってはいただけないでしょうか?牢から出すかどうかはさておきとして、彼の言うように導師という立場である貴方に対してもそんな物だと言うなら以降にどうするかを決める試金石にしたいと思いますので」
「試金石って・・・どんな風な判断をするんですか?」
「それこそ彼女が誰の言うことも聞かないというのであれば、これから我々がバチカルに向かうのもありますからイオン様の許可が降りるかどうかにもよりますが、彼女をキムラスカに引き渡す方がいいと思っています。彼女は自分は何も悪いことはしておらず何も目的について話す必要などないと思っているように振る舞っているようですが、絶対に何も言わない頑なな姿勢が本当の目的を隠すための何らかの偽装である可能性も否定は出来ません」
「本当の目的って・・・」
「そこまでは分かりませんが、わざわざ兄をダアトの地ではなく遠く離れたバチカルという地で襲うと決めたのです。そういったことから謡将が目的というだけでなく、キムラスカに対しても何らかの良からぬ思惑を持っている可能性は否定出来ません」
「まさか・・・!」
「ですからこそ、イオン様に会っていただきたいと申し上げたのです。もし彼女がイオン様相手でも同じように何が目的かを言わないのであれば、そういった風な考えが有り得ると見るようにしてそれこそキムラスカに彼女を引き渡すようにすることも視野に入れて」
「・・・分かりました。後で実際に一度会ってみますので、案内をお願いします」
「はい、お願いします」
それでイオンにティアに会って話をしてほしいとその真意を知ることの是非も併せてジェイドが話をすると、重い表情ながらもそうすると了承を返した。流石にティアの事は放ってはおけないと。
「あの~・・・ティアについて話は決まったのはいいんですけど、ルーク様はどうなるんですか大佐ぁ?さっき付いてきてもらうみたいに言いましたけど・・・」
「その件でしたら問題ありません。ティアと違い事情は聞きましたし彼女が理由の事故の形で来たとのことですし、こちらの目的もお伝えしましたらすぐにキムラスカ側に口添えをすると約束していただきましたから共にバチカルに向かいます」
「そうなんですか、ルーク様ぁ?」
「まぁな・・・こっから一人でバチカルに帰るなんざ俺一人じゃキツいだけだって分かってるし、目的も別に反対するようなもんじゃなかったから乗せてってくれるんなら協力するって言ったんだよ」
「あ~、そういうことなんですね~」
次にアニスがタイミングを見計らったようにルークの事についてを聞いてくるが、この辺りは別に問題はないとジェイドとルークは自然にもう話はついているといったように返してアニスを納得させる・・・実際はそんな話し合いなどしていないのだが、今更別行動などという流れにする気もない上にマルクトの目的も把握している為に二人はこうした打ち合わせなしのアドリブの返しをしたのだ。自然に同行する流れにするために。
「そういうことですが、早速ティアの元に一緒に来ていただいてよろしいでしょうか?ただ彼が来ると反発心だけで口をつぐみかねないので、こちらで待機していただきます」
「う~ん・・・話を聞いた感じだとそうなる感じは有り得そうですね~・・・」
「分かりました、では行きましょう。ここでゆっくり待っていてください」
「あぁ、頼むわ」
そうしてジェイドが話をしに行くという中でルークは待機と言われたため、アニスとイオンは特に反対せずにゆっくりするように言った後ジェイドと共に二人は部屋を出ていく。ルークの言葉を背に受けながら。









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