焔に触れ亡霊の姫は変わりゆく

「・・・えっと、一体どういうことなんだ・・・?」
「それについては今行った彼女が戻ってくるまで白玉楼で待つ間に説明するわ・・・妖夢、先に入って皆の分のお茶の用意をしてきてちょうだい」
「分かりました」
「う~ん・・・」
そうして一人イマイチ事情を理解出来ていないルークが首を傾げるのだが、幽々子が一先ず屋敷にと言って命を受けた妖夢が先に向かう姿に何とも言いがたいという声を漏らした。






・・・それで白玉楼の中の客間にて、大きなちゃぶ台を囲みながら一同が妖夢が入れて出した茶の前に座ること数分経った。
「・・・連れてきましたよ~、四季様」
「ご苦労様です、小町」
そんな場に小町が一人の少女を連れて入ってきたことに、映姫は労いの言葉をかける。
「・・・えっと、この体勢に入ってそんな時間が経ってないから説明を受けてないんだけど・・・そっちの小町って人はどうしてその、古明地さとりって人を連れてきたんだ?」
「簡単に言うなら古明地さとりには心を読む能力があるんですが、彼女はその性質もあって普段は地底という地上とは関係の断絶された場に住んでいます。ただ地底に向かわなければならない場合だったり彼女に会わなければならない必要がある場合、私や小町は地底に向かえる権限を持っているのですが、同様に彼女にも例外的にこちらに来てもらわねばならない時もあるのでそのような時には小町の能力を使って来てもらうことになっているんです。『距離を操る程度の能力』を使えばどれだけ目的地に距離があっても然程意味を為さない事もあるのですが、移動している時に誰かに見られるといった可能性が一気に低くなりますからね」
「・・・そう、なんですか・・・」
ただまともに説明を受けていなかったルークは周りが平然としている様子にたまらず声を漏らすが、映姫が丁寧に説明していったその中身に受け入れきれないといった声を漏らすしかなかった・・・程度の能力の概念についてはこの三日で聞いてはいたが、実際に聞いたさとりや小町の能力だけでも範疇外の能力であると感じたために。
「そういうわけで私は貴方についてを調べるために連れてこられました、古明地さとりです。口調を崩していただくのもですしさとりと読んでいただいても構いませんが・・・八雲紫、私は彼の心を読めばいいんですね?」
「正確には彼の思い出す記憶を読んでください。説明は受けていると思いますが、彼は浄波瑠の鏡に白玉楼に来てから以降の姿しか見えないとのことです。なので彼の歩んで来た記憶についてを貴女が読んで、どういった生を歩んできたのかを確かめていただきたいのです。その結果次第で彼の体についての推測の答えを出すきっかけになると思いますので」
「分かりました・・・ではすみません。貴方が幻想郷に来るきっかけになったことから思い出していってください。幻想郷に来る直前の記憶でも良いかと思ったのですが、貴方がどのように人生を歩んできたかを知れれば私も何か言えるかもしれませんので」
「わ、分かった・・・じゃあちょっと集中して思い出していくよ・・・」
そうして自己紹介をしたさとりが紫に確認を取り、肯定と正確な要望が返ってきた事に早速とルークに記憶を読みたいと要求をすると、ルークは戸惑いつつも目を閉じ周りもその様子に黙って注目をする。









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