異なる結末と焔の安寧

「・・・まぁ用に関してはこれで済みましたが、何か他にルークに言伝てをしたいのであればお引き受け致しますわよ?」
「・・・いえ、貴女の言葉が正しいのであればルークは貴女がここに来ているとは知らないのでしょう。ならば変に彼に我々の事に気を取られるような事にはしない方がいいと思いますので、構わないでいいですよ」
「俺もそれでいい・・・後はもう俺達の事は思い出にして、平穏に暮らしてくれればな」
「・・・分かりました。では私はこれで失礼しますわ」
そしてもうこれで最後というよう伝言はあるかと尋ねる紫だが、二人共に満足そうに返す様子に理解したとスキマを開いてさっさとその中に入って消えていった。
「・・・行ったか」
「彼女としてはそれこそ最初から用事が済めばパッと帰る予定だったからでしょう。ですがそれでも私からすれば最高の報せだったと言えます・・・これで私も心置き無く逝く事が出来るでしょう」
「・・・あぁ、そうだな。俺も紫の報告を胸に、いつか寿命が来るまでは精一杯生きていこう」
それで姿が見えなくなってジェイドが満ち足りた笑顔で逝けると口にしたことに、アッシュも頷き返した。残りも然程ない生をちゃんと生きていこうと・・・



















・・・それから二年後、マルクト軍にて名と功績を多大に残したジェイド=カーティスは逝去した。だが周囲はともかく、亡くなったジェイドの顔は安らかな笑みそのものであった。心から満足しているといった気持ちを体現しているかのよう。

そしてその十五年程後、『ルーク』という立場に戻ったアッシュもまた崩御した・・・同じように笑顔のまま亡くなっている姿を発見される形でである。

世界を救った英雄である二人の笑顔での死・・・この笑顔には一人の存在が関係していた。そしてその存在は遠く離れた土地にて、穏やかに暮らしていた。桃色の髪を持つ水色を主体とした帽子と着物を身にまとった女性と肩を並べ、ゆっくりと暮らしていく形で・・・









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