異なる結末と焔の安寧

「・・・それで残念とはどういうことですか?その言い方ではルークは歳を取ってないかのような物言いですが・・・」
「えぇ、その通りです。前に貴殿方にルークの手助けを頼みに来た時に彼が歳を取ってない理由はお話ししましたが、こちらの彼と一つになったからには私も歳を取る物かと思っていました。ですが逆だったなら話はまた違ったのかもしれませんが、ルークが主体となって一つとなったことで元々の彼が歳を取らなかったという性質を持っていたことから、その性質を引き継いだままにいたんです。なので彼は三十年少しと経った今でも姿形には一切の変化はありませんわ」
「そうなんですか・・・というかそれではルークに寿命は無いのですか?」
「私が調べた結果としては寿命と呼べるような寿命は無いと言えますが、それだけ聞くなら不老不死のように思えるかもしれません。ですが外的な要因・・・病気にかかることもそうですし、誰かが彼を殺すなどといった事をしたなら彼はちゃんと死にますわ」
「成程・・・前に話に聞いた不老不死の存在とまではいかず、ちゃんと死ぬ不老長寿ということですか」
それでジェイドがルークの事について言ったことを問うと、紫が返していくルークの体についての説明にそういうことかと納得する。
「と言っても彼が死ぬことはそうないと思われます。白玉楼はそもそも冥界という場所にあり木っ端妖怪はまず来るような所ではありませんし、そもそもそこの主である幽々子と本気で敵対しようとする存在はまずいません・・・彼女の実力は幻想郷でもトップクラスでありますし、彼女の能力は話に出たような不老不死のような存在でもなければ当たれば生きる者を確実に死に至らしめるという物です。そんな彼女をわざわざ怒らせるようなことをする者などいるとは思いませんわ」
「・・・ルークが幽々子に気に入られているからか」
「えぇ。一応はルークは死んでも消滅はせずに亡霊として白玉楼に招くことは出来るとは伝えたけれど、貴方達に協力をする前の出来事があったから死ぬような目にはあってもらいたくはないと思うようになったとのことです・・・まぁ彼の第二超振動の力を上回れるような脅威の能力を持つ者は必然的に限られてきますし、そこまでの実力者は頭も良いですから幽々子を敵に回す程のことはまずしないでしょうね」
「・・・そう聞けば一先ずは安心出来るし、ルークは無事に今も幻想郷で平和に暮らせているということか」
「そうですわね。ですから彼の事に関しては心配はいりません・・・ただ今回はあくまでも私が個人的にここに来ただけですから、彼にここに来てもらうようにはしませんがそこはご了承を」
「・・・それは構わん。むしろそういった話を聞けただけでも良かった」
その上でまずルークは簡単に死なないだろうと根拠を語っていった上であくまで自分一人だけでここに来たと告げる紫に、アッシュは落ち着いた様子で大丈夫と首を横に振る。
「元々俺達はラジエイトゲートで二度と会わない今生の別れをした身だ。無論お前が来たなら一度くらいは会いたいと思いはしたが、無理を通してまで会いたいとは言わん。むしろこうして事後の事を報告してくれただけでも御の字だ」
「そうですね・・・もう後は死を待つだけの老人に一抹の安堵を与えてくれただけでも感謝しています」
「そう言っていただけて幸いですわ」
そうしてアッシュとジェイドは揃って自身の言葉で穏やかな微笑を浮かべながら感謝を述べていき、紫もまた微笑を浮かべてそれらを受け止めた。二人が無理を言わないこともそうだが、本当に二人がそう言葉通りに思っているのだと理解した為に。









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