異なる結末と焔の安寧

「そもそもを考えればあのアリエッタの幼さは魔物に育てられたからというのと共に、周りの環境というか六神将に謡将達が彼女の成長を促進するような事をしてこなかったことが大きかったと思います。これに関してはアリエッタを戦力として見て、リグレットやラルゴなどは少し感じは違っても謡将の目的の為にそういった事をする時間もなかったのもあるからでしょうね」
「それに関しては俺も六神将にいたことから否定は出来んが・・・仮にヴァンの計画が成功したなら、アリエッタはどうなっていたと思う?戦力は必要ないという状態になるなら、アリエッタをヴァン達が教育するような事になるかと言われれば俺にはイメージが出来んが・・・」
ジェイドはそんなアリエッタの変わりようから対比してヴァン達が教育などしなかったことを引き合いに出すと、アッシュは仮にともしもの可能性についてどうなるかと口にする。
「確かに教育はしなかったでしょうね。大方自分達の計画が成就してその後の自分達の作った世界に満足し、アリエッタの事に注意するといった事などなく言うことを聞いていればいいと思うか、その世界で色々と物事を見聞きして成長していけばいいと思うだけに留めていたというくらいでしょう・・・ですが精神的に幼かったアリエッタにそうしろとだけ言うのは酷というかどういう風に物事を考えていくかなど予測が出来なくなりますし、とてもではありませんがそんな世界でアリエッタが何か出来るとも思えません。謡将達はその後の世界をどうするかということで忙しくなって戦力として以外でアリエッタを見ることが出来ない以上、彼女が出来ると見れることなど治安維持の為の活動といったくらいですが・・・最早自分達以外はレプリカしかいない世界では誰が自分達に反乱してくるのかという話になりますから、戦力としても治安維持としても彼女を頼る意味などほぼほぼありません」
「・・・そうなったならアリエッタは役目などなく、誰かが教育などすることもない上に構う暇もないからより一層どうにもなくなるというわけか」
「えぇ。私から見たなら少なくとも計画が成就してもアリエッタが満足していたかと聞かれたなら、とてもそうなっていたとは思えません。以前にフェレス島をレプリカとして復活させたのは謡将達なりの優しさと取ることも出来るかもしれませんが、あれは言うなら計画が済んだならあそこをやるからそこで魔物達と自由に暮らせばいいと一見人聞きは良いように言っただけで、その実としてアリエッタや魔物達の隔離場所としての役目で作られた場所と取ることも出来ます・・・おそらくハッキリとは言葉にはせずとも、いずれアリエッタが自分達にとって用済みになる未来を謡将達も感じていたんだと今なら思いますよ」
「自分達を慕ってくれているのは分かるが、アリエッタの幼さに付き合うわけにもいかないし殺すわけにもいかないからせめて故郷の土地のレプリカで魔物達と暮らさせ、自分達に付き合わせないようにしよう・・・そういった実質的な逃げ口上でアリエッタを突き放すという訳か」
「そうなっていたならしばらくはまだその素直さからアリエッタも我慢はしていたでしょうが、それもどこまで続いていたかは分かりませんし成長のきっかけがない彼女ではどう抗議していいかも謡将達を説得していいかもわからず、結果としてフェレス島に引きこもって魔物達と共にその生を終えていたでしょうね」
そんな疑問にジェイドはアッシュと会話をしていき、どういった結果になっていくのか・・・それらを語っていった上で、最後は良くない結果だったろうと首を横に振った。ヴァン達はアリエッタを自分達の都合で突き放し、最終的にアリエッタの不幸に繋がっただろうと。










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