異なる結末と焔の安寧

「・・・そういった事を考えれば、そんなティアが変わるきっかけは何かと言えば・・・やはりヴァン以外に無かっただろうが、血の繋がった妹だからこそ自分の計画に巻き込まないように敢えて突き放すべきだったと今なら思うな」
「妥当だったのはそうでしょうね。謡将からしたならその血の繋がった妹だからこそ自分の想いとして突き放せなかったのでしょうが、もしそう出来ていたなら彼女は敬虔なローレライ教団の信者でありユリアシティの住民の一人としてただ過ごしていただろうと思います。ユリアの子孫であることを誇りにはしつつも、謡将への気持ちが強くない分他のユリアシティの住民と同じよう然程強い自我もなくです」
「ただそうなるとアクゼリュスでルーク達が死んでいたという事実になるということに関してはどうしようもないが、それでもこちらのティアに関してはむしろ突き放しておいた方が良かったと言えるだろう。アブソーブゲートでの結末を考えれば尚更にな」
「えぇ、本当にそこは私も思いましたよ・・・」
そうして話題をどうすればティアが変わったかはヴァンによっただろうと二人は会話を交わしていき、ジェイドはそっとまいったというよう頭に手を当てる。
「・・・人への想いがあるから動けるという風に言うと言葉面は綺麗であったり立派な物に思えるかもしれませんが、あの旅の最中での様子は貴方も覚えているでしょうがアブソーブゲートでの彼女は本当に酷い物でした・・・謡将が何をやろうとしたのかは全て聞いた筈であり本人からもそれらについて正しいという言葉をもらったはずなのに、結局として彼女はそれら全てを考えた様子もなく謡将にただ生きてほしいだったり仇を取るといった行動以外取らなかった・・・正直盲目もここまで来るものなのかと思わざるを得ませんでしたし、だからこそ彼女をあそこで殺す以外に私には選択肢がありませんでした」
「お前もそうだがルークが最後の一押しをすると決めるくらいには最早ティアは変わりようがないと見たからだろうが・・・だからこそヴァンがどうにか出来なかった事が分岐点だったと強く思ったという訳か」
「えぇ。謡将は彼女を殺すことも辞さないというように言っていましたが、それでも彼女に対しての気持ちはルークを含めたレプリカという存在全てと天秤にかけても余裕で彼女の方に傾くでしょう。ですが大切だと思うならばこそ突き放す事もそうですし、そうでないならちゃんと道理であるとか様々な事についてを教え込むべきだったと思います。そうしていたならユリアの子孫であることの自負心はともかくとしても、彼女の在り方に結末は大きく変わったと思います。どちらのティアもそうですが、特にこちら側の方に関しては尚更に・・・ね」
「最早後の祭り以外の何物でもないがな・・・」
そうしてジェイドが何とも言いがたいといったようにこうするべきだったとヴァンの行動の甘さについてをそのままの様子で口にしていき、アッシュもまたどうとも言えないというように同意するしかなかった。






・・・何だかんだ色々と言いはしたがそれでも以前の経験があってヴァン達を共に止めることになった間柄であって、エルドラントからアッシュが戻ってくるまではそれなりに親しかったと思える相手だったのだ。

しかしその気持ちや考えはルークに対する気持ちや姿勢の違いを確認していくにつれて、次第に薄れていったのだが・・・それでも赤の他人というには関係が出来すぎていた上で、ティアを連れていかねばどうしようもない部分や彼女自身が付いていくと頑なに譲らなかったからこうなったのだ。結局の所として自分の気持ちや判断を重視し、それで表向きは何もないようにで済ませたが後味の悪さはどこかしらに感じる結末に・・・









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